アマゾンには森がない の商品レビュー

原後雄太(著者)

2016/12/06

鬼気迫るものを感じる良書。表現に困る。
マクロとミクロ、世界と地域を見る目を併せ持ち、法をバックグラウンドとしながら世界トップレベルの思考回路をして、事象分析・解決能力を如何なく発揮し、信念と行動力を持って世界の混沌に飛び込んだ結果を圧倒的な文章力で書き上げるとこの本が生まれる。
入植から加速度的に進んだアマゾンの破壊、止まるところを知らない人の欲、ロンドニア州の森林破壊の歴史が構造的に判る。凄まじい。行った場所、聞いたこと、見たことが繋がる。また、読み直す。

2011/01/24

2007年に急逝した原後さんのアマゾンの森林保護策を訴えた本である。
出版は今から十数年前なので今の活動はどうなっているかも気になるが、
金融業界から環境アナリストに転身した原後さんの活躍は素晴らしい。既成の枠組みにとらわれれず地球のため、人類のために自分が何ができるかそれもフィールドに身をおいて考え行動した本である。
急逝がほんとうに悔やまれる。
それにしても森がないというタイトルは実際に大量に伐採されてしまっている現場からの声を届けったからであろうが、タイトルだけ一人歩きするといささかセンセーショナル過ぎか。
また　熱帯雨林の伐採の背景に法律の不備、行政の不備、先住民への不配慮、ゴム採取人と地主との争い、NGOの思い、日本の資源採掘活動など様々な人が入り組んでおり、ややこしくて、どうしようもなくて、遠くて、広くて、想像力が及ばなくて読んでいるだけでもつらくなった。この辛さが地球環境問題に対処するときに付随する。精神力を鍛える必要がある。