1,800円以上の注文で送料無料

ドン・キホーテ讃歌 の商品レビュー

3

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/11/11

ドンキホーテ 論考集。 初読時は ドタバタ狂想曲的で よくわからなかったドンキホーテを再読深読みするために読んでみた。 寅さんを 日本のドンキホーテとする説も面白い。 「人と違う価値観を持ち、旅をし、滑稽な失敗を繰り返し、マドンナのためならがむしゃらな勇気を見せる」寅さんと...

ドンキホーテ 論考集。 初読時は ドタバタ狂想曲的で よくわからなかったドンキホーテを再読深読みするために読んでみた。 寅さんを 日本のドンキホーテとする説も面白い。 「人と違う価値観を持ち、旅をし、滑稽な失敗を繰り返し、マドンナのためならがむしゃらな勇気を見せる」寅さんと ドンキホーテを重ねている。となると ガジロウがサンチョだろう。 騎士道物語のパロディ 以外の読み方として、ドンキホーテは人生論とする説や ドンキホーテとサンチョの関係に人間の本質を見る説は 説得力がある。 セルバンテスが攻撃する 騎士道物語は日本のチャンバラのような大衆物語というだけでなく、「大衆演劇、牧歌、牧人文学など非現実的な叙述により、人間の理性を狂気に変える思考そのもの」とする論調も面白い この本で 気になったドンキホーテのテーマ *英雄叙事詩〜理想と現実の衝突の中で英雄的に生きようとした悲喜劇的人物像 *人生論の数々〜「想像の世界が人生を充実にする」「遍歴は人を賢くする」「ヒーローは存在しない何かを求めて大望を抱く」 *人間の本質は共生〜ドンキホーテとサンチョの共生 特異さ *ドゥルシネアはドンキホーテの想像力の中に生まれる〜目で見えなくてもドゥルシネアの美しさを信じている *ドンキホーテとサンチョが実在するとする作者の意図 *作者は他に存在することを示唆 *ドロテアの描き方→ドンキホーテの正義は性善説〜人が犯罪を行うのは、うかつな行動の結果てあり、不正というより不幸 登場人物群 A.ドンキホーテの狂気を知っているために対立しなかった人 B.ドンキホーテの狂気を知り、狂気をからかう人 C.ドンキホーテの狂気を知らないまま狂気の世界に引き込まれる ドンキホーテの構成 1章〜6章 牧人小説のロマンセに自らをなぞらえるドンキホーテ 7章〜28 自分が生きている世界と騎士道物語の世界の区別がつかなくなる→充実した生を生きるには想像の世界が必要 29章〜 司祭と床屋がドンキホーテを故郷に連れ戻す→ドンキホーテ衰弱→自分で騎士道世界を作らなければ生きていけない 最後の言葉「わしはもうドンキホーテラマンチャではない〜善人というあだ名をもらっていたアロンソキハーノになった」 狂人の騎士から郷士に戻った 「はじめに風車があった。風車はドンキホーテと共にあった。風車はドンキホーテであった」

Posted byブクログ