ハルモニア の商品レビュー

篠田節子(著者)

2009/11/23

10年以上前にやっていた土９ドラマの原作。
このドラマは毎回毎回、もう、怖くて。
でも続きがどうなるのか気になるものだから、
怖い～ワー、キャー、光一～（←ミーハー）といいながら
ＴＶ前に噛り付いていた記憶があります。

中身は、八ヶ岳の超高級福祉施設に入居している女性・由希が
脳の異常により類稀な音楽的能力を持ってしまい、
周囲の人々の働きかけいにより、その素質を伸ばしてゆく一方で、
自身や周囲の人々を傷つけ崩壊させてゆく…という話。
最初は、感情や一般的なコミュニケート能力がないために
彼女が不快な状況に陥った時にとる行動が怖く、
後半は能力の開花に伴い超能力（に近いもの）を発露させて
自身に危害を加えようとするものを攻撃してゆく様がまた怖く、
という状況。
でも、彼女よりも、そんな状況の中温かな抽象論のみを
主張し続ける所長さんやら、彼女を実験体と見なしたいのか
単にスターに伸し上げたいのかよくわからない立場の深谷さんのが
怖かったりも……

2012/11/25

　きりきりと引き絞られた糸のように張り詰められた物語だ。
　とても脆い様に見えて、その実強い。全編に渡って途切れることなく続くその緊張感は、否が応にも文章に惹き付ける力を漲らせている。
　音という形の無い儚い、それでいて人間という存在が生まれた瞬間から共にある存在が結びつけた男と女。
　クライマックスの演奏シーンは言葉や身体で示す情にも勝る愛が
伝わってくる。