名文を書くテクニック の商品レビュー

西岡光秋(著者)

2010/06/16

三島や谷崎などの『文章読本』は読んだことがありますが、自己文体を確立した個性的な作家たちの文章本は、すごいと思うものの、自分にはあまり取り込めないように思えていました。
最近、読書を通して名文に触れているため、さらに文章理解を深められればと読んでみました。
著者は文章表現術の本を何冊も出している人で、作家と言うよりも一般的な文章に通じている人です。
書き出しや最後、エッセイ、他ん分、コラムや書評など、いろいろな文章の特徴を、項目分けして説明してくれています。
特に大きな発見はありませんでしたが、真面目なしっかりとした文章ながら、わかりやすくまとめられていたので、すんなり読めました。

三島の「人生で何の目標も持たないまま歳を取った美男子の顔ほど醜悪なものはない」という一説に深く共鳴し、文学は個性のレッテルとして己を戒めているという著者。自分も気をつけたいものです。