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宗教社会史の構想 の商品レビュー

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2014/02/26

 本邦で最大の信者組織をもつとする真宗教団の、機能面を組み立てようとする意図をもつかにみえる.  教団を論ずるとき、その構成者が教義や思想系譜、信者結合の中退を内部から論ずることは当然であるが、それを組織の外から論じ、社会的位置の客観化をめざすところに意図が存在するのであろう. ...

 本邦で最大の信者組織をもつとする真宗教団の、機能面を組み立てようとする意図をもつかにみえる.  教団を論ずるとき、その構成者が教義や思想系譜、信者結合の中退を内部から論ずることは当然であるが、それを組織の外から論じ、社会的位置の客観化をめざすところに意図が存在するのであろう.  親切・勤勉・節倹・忍耐を真宗エートスの一つと考え、これを「仏法為本・王法為先」の論理のなかにすえることで、封建権力とのすみわけを果たしてきたとする.  中世に誕生した真宗教団は、近世への移行期に「朝廷」「封建」とならぶ「寺院勢力」として、君臨する.  信長の弾圧、秀吉とのバランス、それが徳川政権とはどう対峙するか.「四恩」を言い(8p)、「父母」「三宝」「国王」「衆生」の恩に「国王恩」を含み点に、生き延び、門徒を守る<解義=げぎ>の組み立てをみるか. 門徒の地域分布を(1)北陸門徒地帯、(2)西日本門徒地帯、(3)近畿門徒地帯に三分する(49p). 北陸門徒地帯での「勤勉・忍耐」「間引き堕胎回避」「大工・木挽きの出稼ぎ」に、「」がいわれる.    薬製造、売薬の分野で広く全国を行脚したことに、真宗が病気平癒祈祷をおこなわぬ裏返しとしてあり、門徒にも合理的生活習慣の浸透を読む.  ほかにも「繭沸騰」による殺生、北海道・ハワイ・南米への移民・移住もこの教団で見られる営為.  真宗の寺院が地域で占める割合=第1位(寺院率)の高い地域で、教義とエートスが暮らしを規定する.その一方、定信の時代に土地緊縛の封建制原理を超えて、関東に入り百姓、出稼ぎが幕府の政策原理としても選択されたものであることを、指摘している.

Posted byブクログ