ストックホルムの密使(上) の商品レビュー
小野寺信という、実在の駐在武官をモデルに、 日本の終戦工作にとって、非常に重要な情報に関する秘話。 上巻の展開は淡々としているが、 山脇順三や安藤啓一など、懐かしのメンバーがいる。
Posted by
本作は最後の最後でようやく本題に入る訳ですが、それまでは戦時中の記録文書を読んでいるかのような淡白な展開がひたすら続く印象。人物の描写もあくまで史実を書き連ねる為に最低限に抑えられているような感もあって、作品のボリューム自体はさほどでもないのに関わらず、読み終えるまで相当時間がか...
本作は最後の最後でようやく本題に入る訳ですが、それまでは戦時中の記録文書を読んでいるかのような淡白な展開がひたすら続く印象。人物の描写もあくまで史実を書き連ねる為に最低限に抑えられているような感もあって、作品のボリューム自体はさほどでもないのに関わらず、読み終えるまで相当時間がかかってしまいました。 どうにも自分は、(本作に限ったことではなく)大局的な世界の動向などよりも、その中で必死に生きる個々人の思惑や営みにしか興味が持てない模様。後半が、森四郎を中心に描かれるか、世界の動向に注目して描かれるか次第で、個人的な評価が二分されそうな気がします。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日本人はどうしてこんなにダメなのか? 江戸時代がこのダメ社会をつくったのか? 官僚組織?いや違う。社会全体がそうなのだ。 わかっているのに、決断出来ない・もたもたするのは、日本人共通の課題。ばかばかしい責任論も同じ。腹切りが原因か? 誰か教えてください。
Posted by
これはかなり面白い。 太平洋戦争三部作の登場人物もでてくる。ファンはよろこぶ(私は覚えてないが、でもうれしい) 戦時下の日本や他の国の複雑な状況下でどう終戦に持ち込むのか、みたいなことを工作する。 各国の思惑が絡まる。
Posted by
終戦に関わる重要な情報を握りつぶした当時のいわゆる「官僚」。原発事故の対応でその対策会議の議事録を作成していなかった現在の「官僚」。日本という国の構造上の欠陥とは何か?そんな思いとともにあっという間に読み終えた。「ベルリン」「エトロフ」以上のスケールの大きさを感じさせる。「情報」...
終戦に関わる重要な情報を握りつぶした当時のいわゆる「官僚」。原発事故の対応でその対策会議の議事録を作成していなかった現在の「官僚」。日本という国の構造上の欠陥とは何か?そんな思いとともにあっという間に読み終えた。「ベルリン」「エトロフ」以上のスケールの大きさを感じさせる。「情報」を伝えるべく放たれた密使とそれを阻止しようとする者の存在。面白い。下巻が楽しみ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2012.03.29. 現在、上巻の4分の3。 面白い。日本史知識は中学教科書レベル(高校では不選択)なため時代背景の認識が薄く、かなり難解な局面描写であり、見知らね人名(恐らく実在した人々)や組織名が連発するが……。ページをめくる手を休められず、とりつかれたように読み進めている最中。 (読了を待てずに途中感想) 日本人は、阿呆ばかりだ! 目先の功名心にとらわれ、国民同士で足の引っ張り合い……(怒)。 国を揺るがすような重要な情報や判断・打診が、トップにまで行き渡らず中堅役人レベルで握り潰される……、311震災時の、東電幹部や政府中枢の不透明な対応を想起させられる…………。民族の品位って、あんな悲劇(太平洋戦争)を経験してなお、大きく変わるものではないのだな((怒))。 もちろん小説であるので、物語の中核(主要登場人物たちの動向)はフィクションであるに決まっている。 がしかし、戦前戦中から終戦にかけての、政府や軍部の流れは(脚色の多少はあれども)史実に基づいているのだろうと考えると……やるせない。 ……2012.03.29.午後 読了 …… (引用) 会議では何も決まらない、というのがこの国の常識なのだ。すべては、言葉にされず、言葉になったことには意味を認められない。 空気、だけが価値を持つ。(P336) ・・・う~ん。↑現在も同じだな?と思ってしまう・・・ さて、即下巻購入V。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
佐々木譲の第二次大戦末期を舞台にした『諜報3部作』完結編の上巻。我々はさきの戦争で日本が敗れることをすでに知っている。それでも 'if' を問うのは現在を生きる僕たちの特権であるのだが、佐々木譲の筆致は淡々と当時の状況を積み上げて、破綻のない虚構を描出させている。前半はパリで放蕩生活を送っていた森四郎が行きがかりでストックホルム駐在武官の大和田市郎大佐から大日本帝国の運命を左右する極秘情報を託され、亡命ポーランド人のコワルスキと本国を目指す。様々な困難が彼らを待ち受けるのだが・・・。
Posted by
(★★★より上の ★★★+ ) 敗戦間近の緊迫感が伝わってくる。 実際にこれに極めて近いことが行なわれていたのだろう。 歴史の結果が分かっていることとはいえ、この一つの情報が届くべきところに届いていたら、沖縄が、広島が、長崎が、 多くの死が回避できたであろうのに、と思うと、読...
(★★★より上の ★★★+ ) 敗戦間近の緊迫感が伝わってくる。 実際にこれに極めて近いことが行なわれていたのだろう。 歴史の結果が分かっていることとはいえ、この一つの情報が届くべきところに届いていたら、沖縄が、広島が、長崎が、 多くの死が回避できたであろうのに、と思うと、読んでいて脈拍が早くなる。 そして、こんな状況がまだ、下巻にも続くのか。
Posted by
勉強不足の私では、日本史辞典を片手に読まねば醍醐味を味わえないほどの講和派と本土決戦派とのやり取りの詳細さ、臨場感にホントに頭が下がります。すごい取材を重ねたのだろうなと。(戦史のように読んでいましたが)いよいよ密使も放たれて下巻が楽しみですね。
Posted by
大戦末期 ヨーロッパで停戦に向けて努力する話。 相変わらずの日本政府? 今も昔も変わらないわァ。 実在に近い人物が沢山登場するので面白かった。
Posted by