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2017/02/01

サハラ砂漠に生きるベドウィンの物語。世にも稀な白黒まだらの駱駝を手に入れた男。駱駝を所有する名誉欲が嵩じるにつれ、運命は暗転してゆく。 小説としては格別の読み応えはない。説話的な物語。ベドウィンの一族の掟に逆らった男を待つ運命を描くという意味では、教条的とも云えるのかも知れない。...

サハラ砂漠に生きるベドウィンの物語。世にも稀な白黒まだらの駱駝を手に入れた男。駱駝を所有する名誉欲が嵩じるにつれ、運命は暗転してゆく。 小説としては格別の読み応えはない。説話的な物語。ベドウィンの一族の掟に逆らった男を待つ運命を描くという意味では、教条的とも云えるのかも知れない。 本書で興味深いのは、ここに描かれる遊牧民の、あまりにも我々定住生活者と異なる人生観、価値観。我々になじみの深い友情や、親子の情、恋愛などはどこにも描かれない。むしろ異様な愛憎でもって描かれるのは「駱駝」に対する親愛の情。この目新しさひとつとっても、読む価値はあった。 絶対的な暴力装置としての砂漠。そして砂漠の有する宗教性、哲学性のようなものも感じられて興味深い。ポール・ボウルズのように砂漠の外から憧れる者の書き方ではなく、砂漠の中で生活をする者の怨嗟の声を聞くような思い。

Posted byブクログ