ドイツ歌曲の歴史 の商品レビュー
モーツアルト、ベートーベン、シューベルト、シューマン、ブラームス、リスト、ワーグナー、ヴォルフ、マーラー、Rシュトラウスと辿りながら、それぞれの特徴が分かりやすく説明されている。シューマンはピアノに重きを置かれていた。ブラームスは管弦楽そのものが歌であった。ヴォルフは詩からの深い...
モーツアルト、ベートーベン、シューベルト、シューマン、ブラームス、リスト、ワーグナー、ヴォルフ、マーラー、Rシュトラウスと辿りながら、それぞれの特徴が分かりやすく説明されている。シューマンはピアノに重きを置かれていた。ブラームスは管弦楽そのものが歌であった。ヴォルフは詩からの深い情感を受けて、それを音楽にしていた、など。ヴォルフは特に歌曲の世界に特化しているだけ、著者も(そして私も)思い入れが強いように感じる。「詩の表現に従って、音楽は悲痛、陶酔的、内省的だが、淀むことなく、逆流することなく、せき止められてあふれ出ることがない。」また、シューベルトの魅力を「さすらい、語りかける自然、おのれの感情を反映する自然、静かな悲しみ、避けがたき死を歌う詩を選び、詩と曲の間の独特の躍動感が小宇宙を作り上げている」という表現も正にぴったり。「冬の旅」が友人たちに評価されなかったが、自信を失わなかったというエピソードは彼の先見性をもった天才ぶりを感じさせる。シューマンの歌曲ではイ長調が春や日光の明るさ、変イ長調がほのぼのとした光を表すという表現も、興味深い説明であり、確かめてみたい。また、マーラーが曲を通して「愛してください」と呼び掛けているという表現はこの人の特徴を言いえて妙です。現代作曲家ではプフィッツナーを「最後のロマンティスト」と表現し、評価が高いようであり、ぜひ一度聞いてみたいと感じた。特に「ブッセの詩による2つの歌曲」(Op19)この他、Op22,26,29,33,40,41の歌曲集。これだけ絶賛されればぜひ!
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