アラブの怨念 の商品レビュー
「アラブの怨念」のタイトルに名前負けしない臨場感のある内容だった。 湾岸戦争を中心にその前後、及び周辺国の歴史を絡めながら、各国の指導者や市井の人々の話を織り込み、わかりやすく中東世界をまとめている。 特にクルド人問題やパレスチナ問題における内部での分裂を指摘しているところが非...
「アラブの怨念」のタイトルに名前負けしない臨場感のある内容だった。 湾岸戦争を中心にその前後、及び周辺国の歴史を絡めながら、各国の指導者や市井の人々の話を織り込み、わかりやすく中東世界をまとめている。 特にクルド人問題やパレスチナ問題における内部での分裂を指摘しているところが非常に興味深かかった。 アルジェリアの選挙でFIS(イスラム救国戦線)が勝利したこととその後、軍によって弾圧されたことに関する章は、昨今の「アラブの春」における各国の動向を考える上で先駆的といえるだろう。 なぜなら、アルジェリアにおいては20年前に、イスラム主義政党が国民の支持を受けたにもかかわらず、選挙は無効とされてしまったからだ。このことは最近のエジプト情勢とも類似する。エジプトでは選挙でイスラム主義政党が勝利したが、1年後の2013年には軍のクーデターにより打倒されてしまったからだ。
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