自来也小町 の商品レビュー
宝引の辰シリーズ第二…
宝引の辰シリーズ第二弾。江戸時代も現代も日本人は変わらないと思わせる作品集。
文庫OFF
泡坂氏の時代物。全7…
泡坂氏の時代物。全7編を収録した名短編集です。
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前作『鬼女の鱗』の印象が悪かったせいか、今回も同様の危惧を抱いていたが、意外にも読めた。 1つは前回は日本の情緒を過大に期待していたような姿勢があり、肩透かしを食らった感じが強かった事。もう1つは専門的な知識に翻弄された事。 しかし今回は免疫が出来たのか、すんなり物語世界に入る事...
前作『鬼女の鱗』の印象が悪かったせいか、今回も同様の危惧を抱いていたが、意外にも読めた。 1つは前回は日本の情緒を過大に期待していたような姿勢があり、肩透かしを食らった感じが強かった事。もう1つは専門的な知識に翻弄された事。 しかし今回は免疫が出来たのか、すんなり物語世界に入る事が出来た。 そして気付いたのは簡素な文体に宝引の辰の優しさが見え隠れすること。また江戸町人の日々を生きる逞しさが存分に描かれている事。やはり泡坂妻夫は粋な作家だ。
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宝引の辰シリーズは2作目だが、1作目に比べるとどんどんと面白みが増してきた。 と、言うのは作者が腕を上げたのではなく、シリーズを通して一貫している物語の作り方が読むツボに入ってきたから。 まず、主人公が毎回変わること。主人公の視線のですます調で書かれた文章なので、主人公が見た...
宝引の辰シリーズは2作目だが、1作目に比べるとどんどんと面白みが増してきた。 と、言うのは作者が腕を上げたのではなく、シリーズを通して一貫している物語の作り方が読むツボに入ってきたから。 まず、主人公が毎回変わること。主人公の視線のですます調で書かれた文章なので、主人公が見たこと感じたことがストーリとなる。そのため、今までの時代小説に無かった色々な職業の人の視線で江戸という街を見ることが体感できるのが大変楽しい。タイトルの宝引の辰が脇役ながら物語を〆る気持ち良い切れ味をみせる。
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静かに物語が進んでいくといった印象。 語り口がやわらかいからそんなことを感じるのか。 謎解きは非常に泡坂的で端正。 伏線を綺麗に張って、きっちり落としてくれる。 とても楽しめた。
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「夜光亭の一夜」に夜光亭浮城なる女手妻師が登場。長崎丸山の遊女とおらんだ医師のあいだにできた子で、のちに曽我佳一郎という旗本に見染められ正室に迎えられたとの記述あり。
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どこから読んでも楽しめる本なんだけど、今回の中の「夜光亭の一夜」という一編には、「夜光亭浮城」という女性の手妻師が出てくるんだけど、泡坂ファンならあれ?と思うこの名前。この女性、後に曾我佳一郎という人の妻となるという…そう、その名前から想像するのは作者のシリーズ物のヒロインのご先...
どこから読んでも楽しめる本なんだけど、今回の中の「夜光亭の一夜」という一編には、「夜光亭浮城」という女性の手妻師が出てくるんだけど、泡坂ファンならあれ?と思うこの名前。この女性、後に曾我佳一郎という人の妻となるという…そう、その名前から想像するのは作者のシリーズ物のヒロインのご先祖にあたるのでは?とか考えたりして。こんなところにもお遊びが隠されているのは作者がやはりマジシャンであることと無関係ではないと思う。 解説読んでまた納得したんだけど、一昨日の本もこの本も、語り手が話ごとに違っている。語り手が辰の下っ引きだったり事件に巻き込まれる容疑者だったり目撃者だったり。その視点を変えることによって、各々の得意分野とでも言うべきか、「江戸の情緒」のようなものがよりいっそう伝わってくるような気がするのだ。いや〜やっぱりいいわ
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