1,800円以上の注文で送料無料

水に眠る の商品レビュー

3.5

87件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    22

  3. 3つ

    37

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    3

レビューを投稿

2014/10/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

もう20年も昔の本になるのか。 未読の北村薫作品をボチボチ読み進めているんだけど、その一環としてこれも読んでみた。 出版された時には良い短編小説集だったんだろうけど、こっから先の北村薫を知ってる身としては、正直凡庸な作品だなぁと思えてしまう。 なんだか、ネタ帳とか練習原稿を読まされたような感じ、こっから色々膨らまして以降の作品が書かれていくのかなぁ~って… クラゲなんかは、片時もスマホから目を離さず、目の前に相手がいてもLINEで会話する若者を見ると、さすが先見の明があるなと、北村薫の先見の明に感心したりもできるけどね 解説はすごく豪華。この解説で☆半分追加してます

Posted byブクログ

2020/05/19

北村薫の初期短編で編まれた初めての短編集。著者の短編と、そしてアンソロジイに対する強い思い入れは異例の「あとがき」とそして本当に贅沢な「贅沢な解説」で窺い知ることができます。 でも、収録されている短編は古い。いい意味で古いものもあるが、中には陳腐化してしまっているようなものもあ...

北村薫の初期短編で編まれた初めての短編集。著者の短編と、そしてアンソロジイに対する強い思い入れは異例の「あとがき」とそして本当に贅沢な「贅沢な解説」で窺い知ることができます。 でも、収録されている短編は古い。いい意味で古いものもあるが、中には陳腐化してしまっているようなものもあります。 例えば「くらげ」。誰もがスマートフォンの画面を眺めている現状は、「くらげ」で語られるディストピアをはるかに超越してしまっています(おまけに、この作品に対する解説は「パソコン通信」を引き合いに出されています。作品も古ければ解説も古いのです…)。「ものがたり」の忍ぶ思いも、寂しいことかもしれませんが、今の時代には合いません。松本清張の「遠くからの声」を思い出してしまいました。 一方で、例えば、著者の作品の中で繰り返し語られるモチーフの萌芽を見ることができて楽しいです。例えば「はるか」。はるかちゃんと「かとりせんこうはなび」の真喜、他の本では「盤上の敵」の友貴子。きっとみんな同じ人ですよね。その原型がはるかちゃん。同じモチーフが後に形を変えて語られた例もあります。例えば、「一人暮らしのOLの部屋に無言電話がかかってくる」モチーフは、「恋愛小説」よりも、「紙魚家崩壊」に収録された「溶けていく」を思い出しました。でも、不自然さを強く感じてしまう「恋愛小説」より、「溶けていく」のほうがストーリーとしてよく書けているように思えてなりません。モチーフではありませんが、「植物採集」などは、俊一視点の「日常の謎」として読んでみたいと思うのは贅沢でしょうか。 何となく「文章の練習をしているのかな」と思わせられる部分もあります。例えば「植物採集」のラスト一文は、著者の「詩歌の待ち伏せ」で取り上げられていた「朝の食事」のラストと共通するものを感じます。「恋愛小説」「植物採集」「かすかに痛い」などの女性視点の物語は「空飛ぶ馬」から始まる「円紫さん」シリーズに結実していますね。この頃は北村薫は性別不明の覆面作家、でした。 こんな感じで、ずっと北村薫の作品を楽しんでいる視点からはいろいろと楽しめるところはありますが、やっぱり著者お得意の連作短編集のほうが理屈抜きで面白いと思います。逆に、直木賞受賞作の「鷺と雪」が面白くて、同じ著者の本をもう一冊、とこれを手に取った人は、もしかしたら「思っていたのとちょっと違う」って思っちゃうかもしれません。 あと、本当に贅沢な「贅沢な解説」は一読の…いや、二読・三読の価値があります。 【追記】 「新型コロナウィルス感染症」の拡大防止のため、誰も彼もマスクをしている今日、「マスクの中身が入れ替わっていたら」なんてちょっと考えてしまいました。 あと、<ソーシャルディスタンス市女笠> https://dailyportalz.jp/kiji/social-distance-ichimegasa これがくらげかな…

Posted byブクログ

2013/10/02

以下の10作品がつまった短篇集。 ・恋愛小説 ・水に眠る ・植物採集 ・くらげ ・かとりせんこうはなび ・矢が三つ ・はるか ・弟 ・ものがたり ・かすかに痛い 表題の「水に眠る」が一番好きだった。 一部の人にだけ味を理解することができる、不思議なカクテル。 その正体がなんと...

以下の10作品がつまった短篇集。 ・恋愛小説 ・水に眠る ・植物採集 ・くらげ ・かとりせんこうはなび ・矢が三つ ・はるか ・弟 ・ものがたり ・かすかに痛い 表題の「水に眠る」が一番好きだった。 一部の人にだけ味を理解することができる、不思議なカクテル。 その正体がなんとも美しい。 小川洋子さんの世界に似ているので、好きな人にはおすすめ。

Posted byブクログ

2013/09/17

見合い話に苛立ち、後輩の若さがふと眩しい美也子の淡々とした日々に鳴り響く謎の電話。そして一年が過ぎて…「恋愛小説」。同僚に連れていかれた店で飲んだ水割りの不思議な味。ある切ない夜、わたしはその水の秘密を知る…「水に眠る」。人の数だけ、愛がある―様々な愛の形を描く短篇集。(「BOO...

見合い話に苛立ち、後輩の若さがふと眩しい美也子の淡々とした日々に鳴り響く謎の電話。そして一年が過ぎて…「恋愛小説」。同僚に連れていかれた店で飲んだ水割りの不思議な味。ある切ない夜、わたしはその水の秘密を知る…「水に眠る」。人の数だけ、愛がある―様々な愛の形を描く短篇集。(「BOOK」データベースより) 北村薫さんは覆面作家シリーズをついこの前、読み終わったところで、その流れで手に取った一冊でした。 これ、ミステリじゃないじゃん(笑)。 読み始めてすぐ、星新一氏のショート・ショートっぽいと思いました。 だって現実味のない話ばかりで……。 その中で「はるか」は好きだなあ。 「ものがたり」もいいなあ、受け取り方が色々ありそうだけど。 「かすかに痛い」の中の眼鏡越しの視界の描写はいつも私が思っていることそのもので、そうそう、そうなのよーと妙に共感してしまいました。 何を感じていいのかわからない作品が多かったのは、私の感性の乏しさ故でしょうか。 すんなりは読めたのですが、おもしろかったかと聞かれれば、うーんイマイチと答えざるを得ない……。

Posted byブクログ

2013/08/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この人の本は透明感があります。短編集ですが、特にこの中でも「恋愛小説」「水に眠る」「植物採集」の3編は若い女性が主人公の場合の澄みきった悲しい心情が心を打つように思います。「恋愛小説」の美也子がピアノの音を聞かせてくれる謎の電話の主に初めて会う場面は感動的でした。「植物採集」の京子が俊一のために無駄なネクタイ購入をする悲しい気持ちが手に取るように分かりました。

Posted byブクログ

2013/05/30

北村さんの初の短編集との事。 奇妙な味わいの作品が多い。著者らしく、おだやかさ、静けさ、優しさを感じる。 それにしても、北村さんの描く女性には、心惹かれる。 居そうで居ないタイプが多いが・・・

Posted byブクログ

2012/08/14

ちょっと…理解できない話がチラホラする短編も。 男女の気持ちに、常に言葉をのせなければいけないわけではないけれど…。私の理解を超えた男女の関係。また、妻1人に夫2人という世界や、頭からかぶる発明品・くらげなど、星新一を彷彿とさせる設定の短編もある。 ちょっと異色すぎて面食らってし...

ちょっと…理解できない話がチラホラする短編も。 男女の気持ちに、常に言葉をのせなければいけないわけではないけれど…。私の理解を超えた男女の関係。また、妻1人に夫2人という世界や、頭からかぶる発明品・くらげなど、星新一を彷彿とさせる設定の短編もある。 ちょっと異色すぎて面食らってしまった。

Posted byブクログ

2012/08/03

北村薫さんの作品は今までミステリィしか読んだことがない。 こういう作品は初めてだ。 ゆらゆらぬるま湯に浮いている感じ。 あーお母さんのお腹の中ってきっとこんな感じだよね、って感じ。 はっきり言ってほとんど訳分からない。 でも雰囲気にただ身を任せて静かに読書に耽る。 ピアノののんび...

北村薫さんの作品は今までミステリィしか読んだことがない。 こういう作品は初めてだ。 ゆらゆらぬるま湯に浮いている感じ。 あーお母さんのお腹の中ってきっとこんな感じだよね、って感じ。 はっきり言ってほとんど訳分からない。 でも雰囲気にただ身を任せて静かに読書に耽る。 ピアノののんびりした音楽でも聴きながら。 なんてほのぼの読んでいると、痛い目にもあったりする。 「植物採集」の京子の悲しさとか、「ものがたり」の茜のせつなさとか、なんだか分かりすぎて、痛い。

Posted byブクログ

2012/05/16

読んだ時の自分の歳によって良いと思う作品が異なり、それがまた面白くもありました。 約10年の間に、植物採集、かとりせんこうはなび、かすかに痛い、弟、ものがたり、矢が三つ、水に眠るの順で「良いな」と思うピークがありました。 全体を通して、個人的には分かる人同士の共感を楽しむ短編集...

読んだ時の自分の歳によって良いと思う作品が異なり、それがまた面白くもありました。 約10年の間に、植物採集、かとりせんこうはなび、かすかに痛い、弟、ものがたり、矢が三つ、水に眠るの順で「良いな」と思うピークがありました。 全体を通して、個人的には分かる人同士の共感を楽しむ短編集かなと思っています。 (そのため、私にはまだはるかの魅力が分かりませんでした)

Posted byブクログ

2012/02/05

半SFの純文学。水の表面をめくる等、SFとしての着想はよいのだが、その意味か機能を掘り下げ切れていない。会話の中でメタにストーリーを作るなど、がんばっている感はあるが、会話以外の文の、特に比喩の言葉が最近の邦楽のような陳腐さ。SFとしてオチをつけられなかったので純文学にしときまし...

半SFの純文学。水の表面をめくる等、SFとしての着想はよいのだが、その意味か機能を掘り下げ切れていない。会話の中でメタにストーリーを作るなど、がんばっている感はあるが、会話以外の文の、特に比喩の言葉が最近の邦楽のような陳腐さ。SFとしてオチをつけられなかったので純文学にしときましたって、純文学嫌いの人には一番ひっかかるポイントだと思う。「贅沢な解説」の筆者が贅沢すぎて浮いている。マンガの原作ならありかも。

Posted byブクログ