幕末の小笠原 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
1997年刊行。著者は駒澤大学職員。◆米国が太平洋航路にて欲した補給基地。その目的に格好の小笠原諸島。一方、英人は入植を開始していた。さらに、日本はそれよりもずっと前から入植していた。この三方でどのように解決していくか。幕末砲艦外交とも相まって小笠原の帰属は二転三転していく。本書はその日本への帰属の経緯を解説する。◆あまり分析されないが、経緯は幕末から維新期の外交の有り様を検証するうえで格好の材料と見える。
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幕末の、となっているが、江戸幕府が小笠原諸島をどのように認識していたか、かなりさかのぼったところから話はスタートする。不平等条約下での領土回収に向けた努力が詳細に書かれている。 もちろん、イギリスとアメリカの思惑などが運良く作用した結果もあるのだろうが、江戸幕府が外交に弱腰で...
幕末の、となっているが、江戸幕府が小笠原諸島をどのように認識していたか、かなりさかのぼったところから話はスタートする。不平等条約下での領土回収に向けた努力が詳細に書かれている。 もちろん、イギリスとアメリカの思惑などが運良く作用した結果もあるのだろうが、江戸幕府が外交に弱腰でどうしようもなかった、という話でないことは明らか。明治政府で日本は一流国家になったと教えられてきたせいか、江戸幕府については腐敗しきったイメージを植え付けられてしまうが、実のところ、極めて高度な官僚統治が行われていたのだろう。歴史は継続して見ないといけない。 他にも、回収までに至るまでの小笠原諸島の人々(欧米人・ハワイ人)の暮らしぶり、セボリーを中心とした自治などについても細かく、手頃に読める割には大変面白い。
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