改革とは何か の商品レビュー
「改革」の声が高まった1990年代の政治・経済・社会状況の分析と、あるべき「改革」の形を考察した本です。 かつて中曽根内閣のもとで財政の見なおしがおこなわれ、高齢化が進行して国民の負担が増えることを見越して政府の財政規模を小さくすることの必要性が主張されました。これについて著者...
「改革」の声が高まった1990年代の政治・経済・社会状況の分析と、あるべき「改革」の形を考察した本です。 かつて中曽根内閣のもとで財政の見なおしがおこなわれ、高齢化が進行して国民の負担が増えることを見越して政府の財政規模を小さくすることの必要性が主張されました。これについて著者の正村氏は、時間の要素を入れて考察すれば「完全な誤り」だと結論づけています。 将来の世代の負担が過大にならないようにするには、歳出の一律削減ではなく歳出構造の抜本的な改革が必要だと、正村氏は述べています。より具体的には、高齢化による年金制度や医療保障制度の崩壊を防ぐこと、労働のあり方を見なおし働く意欲のある高齢者や女性、障碍者が働くことのできるような社会的条件を整備すること、少子化に歯止めをかけるために意欲と能力のある女性が子どもを育てながら働けるような社会的支援を拡充すること、さらに、人的資源の「質」を確保するため、教育制度の見なおしも重要な課題だと、正村氏は論じています。 そのほか、多くの分野においてあるべき「改革」の姿が論じられていますが、総花的で個々のテーマについての掘り下げが十分でないような印象を抱いてしまいます。
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