鄭和の南海大遠征 の商品レビュー
近年、わりと有名にな…
近年、わりと有名になってきている明代の宦官、鄭和。東アフリカまで到達した彼の大遠征の実像に迫る本。いわゆる「大航海時代」を「第三次大航海時代」とし、ムスリム商人による「第一次大航海時代」、中国商人による「第二次大航海時代」という考え方は、(専門家には常識なのかもしれませんが)実に...
近年、わりと有名になってきている明代の宦官、鄭和。東アフリカまで到達した彼の大遠征の実像に迫る本。いわゆる「大航海時代」を「第三次大航海時代」とし、ムスリム商人による「第一次大航海時代」、中国商人による「第二次大航海時代」という考え方は、(専門家には常識なのかもしれませんが)実に斬新でした。歴史的経緯により、史料の殆どが破棄されてしまったため、鄭和の業績自体はあまり詳しくは分からないのは残念ですが。
文庫OFF
鄭和。 中国史上1番有名な宦官であると思う。 南海遠征を達成した宦官であるが、その前半生は不明であり、永楽帝の操り人形のイメージ。 今回の本では、永楽帝のもとで懸命に働く宦官鄭和の印象そのままだった。 外交官としての側面が大いにあるとは思うのだが… 少し、鄭和などの中国...
鄭和。 中国史上1番有名な宦官であると思う。 南海遠征を達成した宦官であるが、その前半生は不明であり、永楽帝の操り人形のイメージ。 今回の本では、永楽帝のもとで懸命に働く宦官鄭和の印象そのままだった。 外交官としての側面が大いにあるとは思うのだが… 少し、鄭和などの中国史に出てくる人物でも勉強しようかと思う。
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1997年刊。著者は北海道教育大学教育学部教授。 所謂コロンブスらの大航海時代に先立ち、世界史的には二つの大航海時代があったと著者は規定する。 その一はイスラム世界によるものだが、もう一つは元~明朝にかけての中国発の大航海時代であると。 本書は空前の陸上大帝国を創出したモンゴル帝国が陸のみならず、海のシルクロードを生み出し、それが、後の明朝の永楽帝、鄭和の南海大航海に繋がっていく様を解説していく。 重要なのは①イスラム商人のインド洋(特に西)での展開と、②元朝以前=宋朝期から東南アジアに居住する華僑の展開。 一方、なぜ欧米が近代化を達成し、中国が後塵を拝したかにつき、ジャレド・ダイヤモンド「銃・病原菌・鉄(特に下巻)」などで論考されているが、①遊牧民との対決を回避できない(周辺の広大な草原地域のため海洋国家になり切れない東アジア中国の地政学的位置)と、②朝貢システムの持つ海洋進出規模の上限(際限なき損はかぶれない)、③朝貢システムを撤廃するくらいに海外進出の必要性はなかったこと(自給自足が可能なくらい豊富な国内生産力)が本書から伺えそうかな、との感。 確かに本書は元明期のユーラシア交易論が基本であるが、鄭和に代表させた明朝期の宦官論にも言及があり、初期の明朝政権論にも目配せが効いていると言えそう。 なお、東アジア交易(朝貢システム)でも、胡椒の産品としての重要性は西欧が求める場合とさほど変わらないよう。何故か?は向後の疑問として残しておく。
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タイトル通り、鄭和の南海遠征が中心の本です。が、より大きなテーマとして、当時の中国からイスラム世界をつなげた、「ユーラシアの海のネットワーク」の姿を描き出すということをしている本ではないか、と感じました。空間的にも時間的にも「その時代の海」を描き出すことに成功していると思う。面白かったです。
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