軍備拡張の近代史 の商品レビュー
日露戦争後、日本海軍の軍事思想は日本海海戦を目指すことを唯一の発想の原点にする硬直したものになったが、それでも陸軍の白兵主義のように技術、物質警視へとは進まなかった。海戦は陸戦よりも兵器対兵器の対決の要素が強く、勝敗は基本的に艦隊の性能に左右されるものとみなされていたから。 日...
日露戦争後、日本海軍の軍事思想は日本海海戦を目指すことを唯一の発想の原点にする硬直したものになったが、それでも陸軍の白兵主義のように技術、物質警視へとは進まなかった。海戦は陸戦よりも兵器対兵器の対決の要素が強く、勝敗は基本的に艦隊の性能に左右されるものとみなされていたから。 日本海軍はアメリカ海軍を仮想敵とし、戦術至上主義=艦隊決戦主義という基本的な考え方によって世界的な軍拡、軍縮に対応していく。
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タイトルの通り、明治から昭和20年にいたるまでの日本の軍備拡張を扱った著作。 構成としては、前半は陸軍、後半は海軍をメインにして描かれている。 1907年にはじめて策定された「帝国国防方針」から帝国陸海軍が志向した軍事戦略が浮かび上がる。 大正期は、国際的な軍縮の進展、国内的...
タイトルの通り、明治から昭和20年にいたるまでの日本の軍備拡張を扱った著作。 構成としては、前半は陸軍、後半は海軍をメインにして描かれている。 1907年にはじめて策定された「帝国国防方針」から帝国陸海軍が志向した軍事戦略が浮かび上がる。 大正期は、国際的な軍縮の進展、国内的な政党政治の確立と、軍事費が削減され抑制される要素があり、軍拡は足踏みをしていたと言える。しかし、そのたがが外れてしまった昭和期には、際限のない軍拡が行われ、その軍拡のために対米関係をはじめとする国際関係を損なうという場面がしばしば目につくようになった。 脆弱な工業力に、過剰な軍備。近代戦にあるまじき、非合理的、精神主義に偏重した軍事戦略。その末路が、あの敗戦であったことは必然であったと言えるだろう。 著者の山田朗氏は昭和天皇の戦争指導についての著作で知られ、こちらの方は記述に偏りがあるように思えるが、この著作は純粋な軍備拡張の歴史だけあって、ほとんど違和感なく読み進むことができた。日本軍事史に興味ある方は、読んで損はしないだろう。
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日本軍の軍備拡張の歴史を追った本。 「軍部の暴走」と一口言うが、どうしてそのようになってしまったのかが分かる。本書では軍備拡張について、その背後にある戦略思想、国家財政、国際情勢についても触れており、その暴走に至る過程が分かりやすく書かれており、非常に面白一冊である。
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