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石の環 の商品レビュー

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2011/07/12

作者は、人類学、性科学、女性史などを研究し、多くの論文を書いているらしい。この本はその集大成とも言える。小説の形で、人類がどのように進化してきたのか、人間の愛がどのように変化していったのかを描いている。 人類の進化の1つの説を1世代の中で示しているところなど、歴史小説ならぬ、人...

作者は、人類学、性科学、女性史などを研究し、多くの論文を書いているらしい。この本はその集大成とも言える。小説の形で、人類がどのように進化してきたのか、人間の愛がどのように変化していったのかを描いている。 人類の進化の1つの説を1世代の中で示しているところなど、歴史小説ならぬ、人類学小説という新しい形態を示したのかもしれない。たとえば、人間の頭が大きくなりすぎて、出産が難しくなり、女性の骨盤が大きくなり、赤ちゃんの頭に大泉門が出現し・・・という進化を小説の中に取り入れている。ただ、女性史を研究したというだけあって、女性優位の先史観を持ち、男性優位になって悲劇が起こったということを示唆しているようにも思えるが、その価値観の違いによってこの小説の世界に、私は完全には入り込めなかった。 人類学の観点では、小説という形にすればなんでも書けるので、若干ずるいよなって思う。なんら根拠に裏づけされることのない説を堂々とかけてしまいますからね。基本は、少しの遺品(?)からストーリーを作り上げていく学問なんだろうけど、それにしても根拠が無さ過ぎるのはどうかと思うし。 でも、とにかく小説としてはおもしろかったし、彼女の学術的な知識をよく詰め込んだなと思う。歴史小説と同じく、どこまでが真実、というか真実だと考えられているもので、どこからが作者の創作かがわからなくなってしまうけれども、歴史小説と同じく、興味を持って調べてみようかなという気持ちにさせてくれる。

Posted byブクログ