サイエンス・パラダイムの潮流 の商品レビュー
第1章 思想としての科学(野家啓一) ・「科学」という言葉について ・コスモロジーの変遷 ・トランスモダンの科学像 という3つのパートに分かれていて、前の2つはだいたい知っていることなのだけど、とても分かりやすく書いてあった。野家さんの東北訛りで脳内再生しながら読んだ。最後の部分...
第1章 思想としての科学(野家啓一) ・「科学」という言葉について ・コスモロジーの変遷 ・トランスモダンの科学像 という3つのパートに分かれていて、前の2つはだいたい知っていることなのだけど、とても分かりやすく書いてあった。野家さんの東北訛りで脳内再生しながら読んだ。最後の部分(わっしーも登場)も分かりやすくて、浪人時代にラジオで聴いていた放送大学の講義で、あるいは模試に出てくる問題文上(そういえば今年のセンターはわっしーだったらしいね)で、彼が主張していたのはこういうことだったのか、と。しかし最後のところはなかなか僕には承服できそうにないな。自然法則はやはりア・プリオリに存在しているのではないか? 自然の持つ性質に、決して辿り着けないながらも頑張って近づいていくのが基礎科学という営みだと僕は思っている。しかしこの言い方だと、法則は発見されるものでなく発明されるものだという主張に与している気がしないでもない。 (2011.01.23) 第二章 生命と人工生命の間(佐倉統) 最近は科学技術コミュニケーションの佐倉さん、このころは人工生命だったらしい。この文の中で、さらに前はチンパンジーをやっていたと書いてあった。人工生命は数理系から入る人が多い気がして、生物系からは珍しい気がする。「地球上に現存する生命系は」「ただひとつしかない」から、進化を研究するために「いやでも人工的な系に注目せざるをえない」とあって、なるほどと思った。 Richard Dawkinsのbiomorph Crayg RaynoldsのBOID Thomas RayのTierra が人工生命の例として挙がっていた。 第三章 地球誕生のパラダイム(松井孝典) なんで載っているのかよくわからない。あまり興味も湧かなかったのでちゃんと読んでいない。この人については、ググるとなんか色々出てくる。 第四章 混沌を科学するカオス工学(合原一幸) カオスの伝道師、合原さん。内容は普通だった。川崎大師の名物とかいう「とんとこ飴」が気になった。 第五章 脳の世界(養老孟司) つまんなくはなかった。日本は「都市化」してるっていうのが印象に残った。 第六章 人間の情報処理(安西祐一郎) 面白かったけどこれといって書くことがない。今は学振の理事長をされてる。 第七章 決定論的カオスの思想(黒崎政男) 対談 サイエンス・パラダイムをめぐって(井関利明・黒崎政男) この本は大日本印刷がやっていたメディアスケープ・フォーラム( http://jiten.com/dicmi/docs/k34/23232s.htm )っていうものから出来たそう。テーマ的にも、形式的にも今じゃ実現しなさそうな感じ。 (2012.03.05)
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