ゴッホの生涯 の商品レビュー
感想 絵画史の中で燦然と煌めく炎。だが燃え盛るような情熱だけで描いていた訳ではない。天才と言われる人物も苦悩し、笑う。親しみと尊敬を覚える。
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(2005.04.13読了)(2002.01.18購入) 「ゴッホの手紙」(岩波文庫)を読むと何かに憑かれたように次から次と絵を描き、その様子をテオに話すとともに、絵具やキャンバスを急いで送ってくれるようにしきりにねだっているのがわかります。ただ手紙だけだと必ずしもゴッホがどのよ...
(2005.04.13読了)(2002.01.18購入) 「ゴッホの手紙」(岩波文庫)を読むと何かに憑かれたように次から次と絵を描き、その様子をテオに話すとともに、絵具やキャンバスを急いで送ってくれるようにしきりにねだっているのがわかります。ただ手紙だけだと必ずしもゴッホがどのようなところでどのような状況だったのかがよくわからない面があります。 この本では、ゴッホの手紙を織り交ぜながら、ゴッホがどのような状況で何をしようとしていたのかがよくわかります。ゴッホの絵もところどころに入れてあるので、代表的なものは確認できる。 著者の嘉門さんは、ブリヂストン美術館の館長をしていた頃、土曜講座の司会をしており、その軽妙な語り口を楽しませてもらった。 ●ゴーギャンをアルルに呼ぶことについて 「彼はゴーギャンに手紙を書いた―ゴーギャンもまたテオの援助を受けている。その二人がアルルで共同生活をしたら、今別々に二人に送金しているテオの負担は少しは軽くなるだろう。それに、かねてのフィンセントの希望である南仏での新しいアトリエ村の第一歩にもなるし、・・・」 ●サント・マリ・ド・ラ・メールにて 「たとえ、金が他の土地よりかかっても、南仏に残ろうと言うわけは、こうだ。僕らは日本の絵を愛し、その影響を受け、また、すべての印象派の画家はともに影響を受けているが、それなら、どうしても日本へ、つまり日本にあたる南仏にいなければならぬ。」 (日本に対する憧れのなんと強いことか。ゴッホの好きだった日本へ、絵がいっぱいやってきて、日本人がゴッホの絵を好きになっているのだから、ゴッホも喜んでくれるだろう。) ●ゴーギャンの手紙 「フィンセントと僕とは、一般に、ことに絵画において意見が一致しない。彼はドーミエ、ドービーニー、ジーム、それから大ルソーのような人たちを賞讃しているが、こういう人たちは、すべて、僕には分からない。そして反対に、僕が賞讃するアングル、ラファエロ、ドガのような人々を彼は嫌っている。」 (ジーム、とか大ルソーと言うのは誰だろう。大ルソーは、アンリ・ルソーだろうか。) ●関連図書 「ゴッホの手紙」上中下、ゴッホ著、硲伊之助訳、岩波文庫、1955.01.05 「ゴッホの手紙」小林秀雄著、角川文庫、1957.10.30 「ゴッホ」高階秀爾著、新潮美術文庫、1974.06.25 「ファン・ゴッホ」大久保泰著、日動出版、1976.08.25 「ゴッホ 星への旅」上下、藤村信著、岩波新書、1989.05.22 「レンブラント」嘉門安雄著、中央公論美術出版、1968.08.20 「レンブラント」嘉門安雄著、新潮美術文庫、1974.10.25 「ミケランジェロ ヴァティカン宮殿壁画」嘉門安雄著、講談社、1981.01.30 著者 嘉門 安雄 1913年 石川県生まれ 東京大学美学美術史学課卒業 東京国立博物館、国立西洋美術館に勤務 ブリヂストン美術館館長 東京都現代美術館館長 (「BOOK」データベースより)amazon 太陽と日本へのあこがれを抱いてさまよった炎の人ゴッホ。ひたすらな情熱のままに絶えず悲劇をはらんで生き、誰にも認められることのなかった天才画家の、苦悩する生命の脈動と魂の純粋さ、激しさ、光りを求め続けた三十七年の生涯を、その行動と足跡と事実の組み立てによって描く。
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