アドラー心理学の基礎 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「個人の人格の成長のためだけでなく人生における個々のあらゆる行動や情緒を方向づける上で、社会が重要な役割を果たしている。」人類全体のために相互協力して社会を発展させていくために貢献する、そんな共同体感覚を基本的なコンセプトとしてなりたっている。他に目的論、人格の統一性などアドラー心理学の基本的な考えをドライカーズより学ぶ。まだまだ難しいけど読みがいのある本。
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アドラーによるアドラー心理学を解説した書物はなかなか理解しづらいとの評判ですが、本書はアドラー心理学の基本概念を平易に解説していると定評があります。 ドライカースとアドラーとのつながりは、ドライカースの学生時代の恋人がアドラーのカウンセリングを受けたことにあります。次の出会いは...
アドラーによるアドラー心理学を解説した書物はなかなか理解しづらいとの評判ですが、本書はアドラー心理学の基本概念を平易に解説していると定評があります。 ドライカースとアドラーとのつながりは、ドライカースの学生時代の恋人がアドラーのカウンセリングを受けたことにあります。次の出会いは、ドライカースがウィーン大学でアドラーの講義を受けたことです。ドライカースは開業医となった後、実際のケースを解決する中で、アドラーの書物にあたるようになり、やがてアドラーの学習グループに参加するようになりました。こうした活動の中で、ドライカースは論文を執筆し、数冊の本も出版しました。その延長線上に本書「アドラー心理学の基礎」があり、英語、チェコ語、オランダ語、ギリシア語、フランス語、イタリア語、日本語に翻訳されています。 自分なりの理解としてはアドラー心理学の核は、「共同体感覚」「目的論」「3つのライフタスク」ではないかと思います。この中でも特に「3つのライフタスク」を読み解くことで、「共同体感覚」や「目的論」も理解しやすくなるのではないかと思います。 3つのライフタスクとは「仕事」「愛」「交友」を意味します。これらは、人間社会が要求するすべての課題を表しています。「共同体感覚」が正しく備わっている人は、これらのタスクを正しく実行できます。「共同体」にとって役立つ仕事は、職業としての仕事であるといえます。ライフタスクとしての「仕事」が達成されていないということは、すなわち失業を意味することです。失業による劣等感(劣等感という概念もアドラー心理学では重要な要素です)は、愛のタスクや交友のタスクにも悪影響を与えます。 愛のタスクは、現代においては、非常に達成率が低いとされています。愛のタスクは、パートナーがそれぞれもう一人のパートナーを十分に受け入れ、二人の間におたがいに感謝し合う気持ちが育つときにだけ、愛のタスクの問題は解決します。本書が執筆されたのは20世紀の初頭ですが、今なお愛のタスクの遂行には以下のような課題が残っています。 ①男性は、自分自身の優越性を主張したいと思っており、それを失うことを恐れています。 ②その主張は、パートナー間の協力関係をひどく妨害すること 交友のタスクとは、人間は社会的な人間関係を樹立しなければならないし、毎日の生活の必要を満たすためには他の人々と接触なければならないとう前提に立脚しています。他の人に対してどう振る舞えるかを見ることが、その人の共同体感覚の質を見るためのもっとも信頼できる指標となります。 筆者の結びによれば、アドラー心理学の構成要素が非常に単純と思われるため、その単純な法則が心の全てを支配しているということに納得しない人が多いとされています。しかし、筆者によれば、有効な反論はないものとされています。 アドラー心理学は、個人の特性は遺伝、神経組織の中で起きる器質的変化、環境、そして経済的、社会的重荷によって決定されるという論を否定します。いわば人の逃げ道、退路を断つようなその姿勢が、反アドラー派にとって厳しいものと捉えられているのだと考えます。
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