「生命」で読む日本近代 の商品レビュー
鈴木貞美が提唱する「大正生命主義」を解説する一冊。確かこの前の年に出た本と内容は被ってると思うが…… ベルクソンの「エラン・ヴィタル」的な「生命」概念が昭和後期から大正中期ぐらいにかけて文学や美術の世界で非常に重要になるという話。分析の分野的広がりがあってなるほど読み応えがある。...
鈴木貞美が提唱する「大正生命主義」を解説する一冊。確かこの前の年に出た本と内容は被ってると思うが…… ベルクソンの「エラン・ヴィタル」的な「生命」概念が昭和後期から大正中期ぐらいにかけて文学や美術の世界で非常に重要になるという話。分析の分野的広がりがあってなるほど読み応えがある。 大窪のようにアナキズムなんかへの連なりを描ければもうすこし後のほうへの歴史的な広がりもみることができよう。 個人的には、キリスト教の禁欲主義についていけなくて、生命主義が出てきたという側面が面白いと思う。『女学雑誌』の後半から出てくる生と性の肯定というのは、やはり近代化によってそれが抑圧された中で出てきたのだろう。その辺に注目しつつ読んでいくと、今日にも通じるものが見えてくる気がする。
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自然との共生、地球は大きな生命体・・・という標語のなか、「生命」をスーパーコンセプトにという動きがある。時代の合言葉にはそれを支える気風があるが、日本近代は「生命」をどのように考え、描いてきたのだろうか。 日本列島の生命観・近代欧米の生命観・大正生命主義の誕生・生命主義の開花・...
自然との共生、地球は大きな生命体・・・という標語のなか、「生命」をスーパーコンセプトにという動きがある。時代の合言葉にはそれを支える気風があるが、日本近代は「生命」をどのように考え、描いてきたのだろうか。 日本列島の生命観・近代欧米の生命観・大正生命主義の誕生・生命主義の開花・スタンスと亀裂、そして変容・迷路の中の生命主義・・・このような大項目で話が進められる。 近代著名人の著作などに現れる生命(神秘)主義を概説し、時代背景との関連がうかがい知る事ができる。 徳富蘆花の「美的百姓」、武者小路実篤の「新しき村」などは、今の時代の雰囲気に似ている気がする。 ●神秘主義と物質主義の対立さえも、論理的な構造を持った調和に導く事ができるのが、生命主義の特徴である。 示唆多き一冊だった。
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