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奇蹟と愛と の商品レビュー

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2009/10/04

13世紀フランスの散文ロマンス、流布本三部作の3つ目、フランス版「アーサー王の死」の全訳を収録。アーサリアンにはこれだけで買いだ!(マロリーの全訳が出るまでは、こっち読むしかなかったのよ) 作者不詳のフランス版「アーサー王の死」は「聖杯の探索」のラストシーンからスタート。ぜひ「探...

13世紀フランスの散文ロマンス、流布本三部作の3つ目、フランス版「アーサー王の死」の全訳を収録。アーサリアンにはこれだけで買いだ!(マロリーの全訳が出るまでは、こっち読むしかなかったのよ) 作者不詳のフランス版「アーサー王の死」は「聖杯の探索」のラストシーンからスタート。ぜひ「探索」とあわせて読みたい。ボオールが帰還して聖杯の探索が終了すると、ランスロは再びグニエーヴルの元に戻ってしまう。幕間劇のようにエスカロの乙女の悲劇、毒林檎事件が起こりグニエーヴルの人気の失落、騎士たちの不審、モルドレの暗躍でグニエーヴルとランスロの関係が暴露され、アーサー王国崩壊が始まる。怒涛の展開と諸行無常。 フランス版「アーサー王の死」はマロリーの直接のもとネタでもあるので、大筋はマロリーと同じだが、マロリーによりも幻想性が強く、ファンタジックに感じる。(マロリーはあえて幻想性を排除しようとしていたように思うが) 「アーサー王の死」以外に10篇の他の中世フランスの作品も収録されている。短編小説程度の長さの「小樽の騎士」がお勧め。とんでもない悪党騎士が改悛する話なのだが、この騎士の悪党ぶりがすごいです。強盗、殺人、強姦、神聖冒涜何でもあり。ピカレスク小説みたいで大変おもしろかった。「聖母の軽業師」も素直にいい話。部分ですがクラリの「コンスタンチノープル遠征記」(筑摩から全訳出てます)もおもしろい。 ※フランス流布本系は「散文ランスロ」「聖杯の探索」「アーサー王の死」の三部作の場合と、「メルラン」「聖杯の由来」を加えて五部作という場合もあります。

Posted byブクログ