おしゃれの平手打ち の商品レビュー
以前から秦早穂子さんのファンで、読みたいと思ってた作品。 「エレガンスとは何か」をテーマにしたエッセイ集で、一章ごとの分量も多くなくて、読みやすい。 けれど、服飾関係に詳しくない人は専門用語も多々出てくるため、飽きてしまうかも。 第1章の「ゆきつもどりつ」に、全編にわたっての早...
以前から秦早穂子さんのファンで、読みたいと思ってた作品。 「エレガンスとは何か」をテーマにしたエッセイ集で、一章ごとの分量も多くなくて、読みやすい。 けれど、服飾関係に詳しくない人は専門用語も多々出てくるため、飽きてしまうかも。 第1章の「ゆきつもどりつ」に、全編にわたっての早穂子さんの服飾に対するアティチュードをあらわす一文が載っている。 ”(マダム・グレの「でも、しょせん、服は服でしかありませんよ」という言葉に対し)だから、どうでもよかったのではなく、それほど愛し、執着しているために、どこかで突っぱねてしまわなければいられない一種の哀しさが漂っていたようにも思う。” 服装は人の生き方にかかわる、という考えのもと昨今の服飾文化を厳しい目線で批評している。 文章の歯切れの良さや品格を感じられるところはやっぱり素敵。フランスの文化歴史にも通じていて、研究熱心なのがよくわかる。 若い頃から社交界に出入りしている育ちの良さと、自己鍛錬を積んだエレガントな装いを常日頃から身につけている素敵な淑女なんだろうな。 「いい女になるには」みたいな自己啓発本を買うよりよっぽど勉強になると思う。表紙とタイトルを変えただけの紋切り型のスナック本より、一人の素敵な女性のスタイルを目の当たりにするほうが学ぶべきことがたくさんある。 私としては、ファッション評論家としての早穂子さんのアティチュードが分かったような気がするから、つぎは「影の部分」(リトルモアの素敵な企画!)を読んで生身の早穂子さんに近づくのが楽しみ。
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