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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック の商品レビュー

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2011/09/15

145年前の1864年11月24日に生まれて、36歳で亡くなったフランスの画家。 ロートレックと入れたら、いの一番に筒井康隆の『ロートレック荘事件』が出てきたのにはびっくりしましたが、確かにこんなミステリを読まされた筒井康隆SF派の私は拗ねてしまって、思えばこの頃から少し遠ざか...

145年前の1864年11月24日に生まれて、36歳で亡くなったフランスの画家。 ロートレックと入れたら、いの一番に筒井康隆の『ロートレック荘事件』が出てきたのにはびっくりしましたが、確かにこんなミステリを読まされた筒井康隆SF派の私は拗ねてしまって、思えばこの頃から少し遠ざかっていった記憶があります。 それは、フォークソングを歌っていたボブ・ディランや岡林信康が、突如としてエレキギターをバックにロックを歌い出したことに反発を覚えた、古い世代の保守派にも似た反応かもしれませんが、だって彼にはあくまでSFに固執してほしかったんだもん。 それはともかく、ロートレックのポスターやリトグラフからは、描かれている対象が下世話なものでもけっして下品にならず、それどころか何か上品な気品漂うものが感じられますけれど、今回はじめて知ったことですが、伯爵家という名門の出自が原因しているのかも知れません。 それから、これも初めて知らされた事実ですが、13、4歳の頃の骨折のために発育不全で成人になっても152㎝の身長だったこと、そしてそのため差別されたといいます。 だからこそ、娼婦や踊り子のような同じ境遇の人たちに共感・連帯意識を持って描きデカダンスな生活を送ったのだけれど、にもかかわらず、けっして芸術的には荒れることなく、市井の中に美を求め発見し追求して、しかもポスターという媒体を開発して日常的な芸術の鑑賞を推し進めた功績は大きいと思います。 ただ残念なことは、アブサンを多飲したことから強制的に病院に入れられて脳出血で亡くなったこと、生活そのものはかなり乱れていたということですね。 芸術的に生きることで満たされることがなかったとしたら、芸術家とはあまりにも残酷な職業ではありませんか。

Posted byブクログ