女はなぜやせようとするのか の商品レビュー
摂食障害(拒食症、過食症、過食・嘔吐症など)を経験した女性たちの視点から摂食障害がどのような問題として捉えられているのかを明らかにしようとするもの。食べること・食べないこと、食物、体型、身体、女性であることなどをめぐる心理的身体的葛藤がテーマ。 摂食障害は思春期前後の若い女性に多...
摂食障害(拒食症、過食症、過食・嘔吐症など)を経験した女性たちの視点から摂食障害がどのような問題として捉えられているのかを明らかにしようとするもの。食べること・食べないこと、食物、体型、身体、女性であることなどをめぐる心理的身体的葛藤がテーマ。 摂食障害は思春期前後の若い女性に多く見られる心因性の病と言われ、患者には「やせ願望」や「肥満嫌悪」などの心性が顕著にあらわれている。摂食障害をめぐる論点として①女性の社会参加をめぐる議論、②女性役割をめぐる議論、③美をめぐる議論が挙げられている。著者が実際に摂食障害の経験者にインタビューをした結果、その女性たちの多くに共通していたことは、フェミニズムとの出会いを通じて摂食障害から抜け出すことに成功した人たちであるということ。特に印象的だった点は『社会に適応するために女性は「女らしさ」を身につけることが必要とされている。だが、「女らしさ」の中には優しさや美しさやかよわさといった意味が含まれ、「女らしい」ということが他人に甘える依存的な存在に象徴される。社会に適応するために身につけた「女らしさ」のために女性は社会で一人前として認められない』ということ。摂食障害を経験した女性たちは、「女らしさ」と「自立性」について片方を選択すれば必然的に片方を捨てなければならないという認識を共通して持っていた。 確かに女性は、男性を立て、気が利き、愛嬌があるというような女らしさを持っている人が世渡り上手に思う。だが、それは男性中心的なものが根本にあるように感じる。かわいい女の子でいたいという思いと自立した人間でいたいという思いの対立や葛藤は自分の中にもあるし他人事じゃないと思った。
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摂食障害当事者へのインタビューを基に書かれた本。 ケースは様々でありながら、多数のケースから同様の構造を取り出すことができる。 摂食障害を取り扱った雑誌の例の検証が興味深かった。それぞれ結論が早急な印象も受けたけど、雑誌毎、時代毎の取り上げら方というのもおもしろい。正しい理解を...
摂食障害当事者へのインタビューを基に書かれた本。 ケースは様々でありながら、多数のケースから同様の構造を取り出すことができる。 摂食障害を取り扱った雑誌の例の検証が興味深かった。それぞれ結論が早急な印象も受けたけど、雑誌毎、時代毎の取り上げら方というのもおもしろい。正しい理解を広めることが、逆に病の知名度をあげ、同様の症状をもった人間が増加していくという観点は興味深い。 まだわからないのは、なぜ自己不安が食べるという行為の異常に発現するのかということ。こういう症状を発現する人にとっては見られる身体が即ち自己ということなんだろうけど、それ以外の可能性はないのかな?とよく思う。食べるという行為自体に安心感ってあると思うし、そこがしりたい。
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「女らしさ」と「自分らしさ」を追及しようとするときの矛盾。「痩せてきれいな女の子じゃなくてはいけないわけじゃないけど、自分はそのようにいたい」という想いが心に残った。私の中でもそんな葛藤があるのかも。摂食障害は身近に起こりうるものであると感じる。
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