幕があがる の商品レビュー
情けない話なのだが、この筆者くらいの年代の演劇人の話を聞くと、自分の実力は棚に上げて悔しくてたまらなくなる。どうしてあと何年か(十何年か)前に生まれてこなかったのだろうかと。もちろん、むなしいことだし、その時代に生まれたからと言って、筆者やその仲間達のような人生が送れるほどの力...
情けない話なのだが、この筆者くらいの年代の演劇人の話を聞くと、自分の実力は棚に上げて悔しくてたまらなくなる。どうしてあと何年か(十何年か)前に生まれてこなかったのだろうかと。もちろん、むなしいことだし、その時代に生まれたからと言って、筆者やその仲間達のような人生が送れるほどの力は、僕にはないのだろう。だけど、彼ら、小劇場演劇の黎明期を駆け抜けた人たちの話には、ほとんど僕を脱力させてしまうほどの力を感じてしまう。 小劇場演劇が始まったころから(と言うより事実上彼らが始めたのだ)、現代に至るまで走り続けてきた彼のエッセイは、ある種の確信に支えられていて力強い。その強さがまぶしいほどである。細かい内容はもちろん示唆に富んだ興味深いものだけど、読み終わって心に残るのは、自分の好きなものを徹底して追い求めていくすばらしい人生のことである。 こういう人生を送りたかった。え?まだ間に合う?
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