さよならダイノサウルス の商品レビュー
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遂に開発されたタイムマシンに乗って、二人の考古学者が白亜紀後期の地球へと旅立つ。狙いはもちろん、恐竜大絶滅の原因を探ること。語り手の考古学者「私」は同行した考古学者・クリックスと妻を巡って浅からぬ因縁があり、微妙な距離感を保ちながら何とか白亜紀末期に到達した。が、そんな彼らを出迎えたのは、現代の地球よりも何故かかなり低重力の地球と二つの月、そして「待ってよう」「はーい」と英語を話す恐竜たち!予想だにしない展開に戸惑いながら、「私」とクリックスはこの時代の恐竜の生態を調査し始める。その過程で現れる謎のゼリー状の生物、謎の飛行物体、謎の天体・・・様々な難関と人間関係をくぐり抜けながら、彼らが辿り着いた恐竜絶滅の真相とは!? 何 じ ゃ こ り ゃ (爆) ネタバレにならないようにあらすじ紹介は最小限に留めましたが、これはもぅ「トンデモSF」のカテゴリーに堂々ランクインと考えて差し支えないかと(←褒め言葉ヽ( ´ー`)ノ)。 恐竜絶滅の謎に迫るSF、と言ってしまうと有りがちな感じですが、この作品にはワイドスクリーン・バロックさながらの独創的なアイディアがてんこ盛りに盛り込まれています。しかも、てんこ盛りのアイディアが投げっぱなしではなくちゃんと回収されていて、恐竜だけでなく低重力の謎やら○○衰退の謎やら○○○○発生の謎やら、「恐竜SF」の一言では説明しきれない肩幅の広さを見せつける一大エンタテインメントとして奇麗に成立しています。さすがソウヤー。 が、そんなソウヤーの多才ぶりが良くも悪くも発揮されてしまったか、鴨の個人的な印象では「もっとポイント絞って掘り下げても良いのになぁ・・・」と思ったのが正直なところ。ストーリーは本当に見事にまとまってるんですけど、そもそもの初期設定がちょっと乱暴な感じもあり、かつ所々に挿入される登場人物たちの「人間ドラマ」がどうにも安っぽくて、全体的には小振りな印象です。 面白くないわけではありませんので、そこは誤解のなきよう!軽いタッチでさらりと読める、肩の凝らないSFをお探しの方にはオススメですね。
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巧妙にカモフラージュされたタイムパラドクスもの。 恐竜を味付けに、時間旅行の必然性を解き明かす。古生物学者、異星人、時間旅行、ロマンがてんこ盛りです。 どんでん返しが上手く、再読して時間線の違いを読むのもまた一興。
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二人の科学者がタイムマシンで中生代に行ったら恐竜が「ハロー」と話しかけてきた…という一見冗談にも見える設定に引き込まれない人は少ないだろう。 最終的には一つのタイムパラドックスを提起(もしくは解消?)する結構ハードなSFだが、難解な所が無くて十分面白い。
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恐竜はなぜ滅んだのか。 この大いなる謎を解明すべくタイムマシンに飛びこんだ2人の古生物学者。しかし、白亜紀末期の恐竜惑星で、彼らを待ち受けていたものは、なんと言葉をしゃべる恐竜だった!? 表題とあらすじから連想するストーリーの斜め上をいく展開でした。 途中から物語があさっての方...
恐竜はなぜ滅んだのか。 この大いなる謎を解明すべくタイムマシンに飛びこんだ2人の古生物学者。しかし、白亜紀末期の恐竜惑星で、彼らを待ち受けていたものは、なんと言葉をしゃべる恐竜だった!? 表題とあらすじから連想するストーリーの斜め上をいく展開でした。 途中から物語があさっての方向に進んでいくもんだから、ただただ唖然とするばかりでしたが、風呂敷のたたみ方は、巧かったです。いや、とても素晴らしかった。 先日読んだ同著者の「フラッシュフォワード」とはそこが違って良かった。 ただ、主人公の情緒的側面にスポットをあてた描写が目立ったが、これが蛇足に感じてならない。物語に直接的に影響があるわけではないし、かといって深みを与えるかというとそうではない。 正直、アイデア一本の展開で攻めた方が、単純明快でより面白かったんじゃないかなぁ。
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恐竜絶滅の謎にタイムマシンで挑むというSF作品。 題材は地味だけど展開されるスケールは壮大! そしてなるほど!と思わせる結末。 一見意味のなさそう描写もあちこちで生かされてくる。 いっき読みしちゃいました。
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恐竜絶滅の謎に迫る奇想天外なストーリ。一般には巨大隕石落下説が有力だが重力増大仮説は初めて知った。最初は著者が捻りだした珍説奇説かと思ったが同様の説を唱える学者がいると聞いて唖然。巨大恐竜が存在していたのは化石等から紛れもない事実であるが、その超巨体を支えていたメカニズムには今も...
恐竜絶滅の謎に迫る奇想天外なストーリ。一般には巨大隕石落下説が有力だが重力増大仮説は初めて知った。最初は著者が捻りだした珍説奇説かと思ったが同様の説を唱える学者がいると聞いて唖然。巨大恐竜が存在していたのは化石等から紛れもない事実であるが、その超巨体を支えていたメカニズムには今も謎が残るというのは確かではあるが・・・それはそうと、鳥型恐竜のトロエドンが「はーい」と話しだすのには笑ってしまった。大風呂敷を広げることはできても畳むのは本当に難しい。少しの間ではあるが壮大な夢を見せてくれたので良しとするか^^
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恐竜絶滅の謎を解明するために、タイムマシンで白亜紀末期へ赴いた二人の古生物学者。そこで出逢ったのは言葉をしゃべる恐竜だった……。 恐竜の巨大化や絶滅だけでなく、作中に登場する全ての謎を合理的(?)に解決してみせる力技に脱帽。伏線の使い方も巧いよね。少し切ないラストも素晴らしい。
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古代遺産を残そうか。恐竜だって火星の秘密だってタイムマシンだって素晴らしい。複雑に入り組んだ歴史を堪能せよ。
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古き良き時代のSF。発想はとても面白い(なぜ恐竜は巨大化したか、とか)。ただ「時間もの」を期待しただけに、その点は期待外れ(つまり、よく分からない)
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タイムマシンに乗って、ちょうど恐竜が絶滅した頃に出かけていく、2人の古生物学者の話。まあ、なんというか古典的な設定ではあるし、とりあえず冒険活劇的な要素もないわけではないのだけど、そういうレベルの話だと思って読んでいると度肝を抜かれる。あれよあれよという間に、ものすごい話になっ...
タイムマシンに乗って、ちょうど恐竜が絶滅した頃に出かけていく、2人の古生物学者の話。まあ、なんというか古典的な設定ではあるし、とりあえず冒険活劇的な要素もないわけではないのだけど、そういうレベルの話だと思って読んでいると度肝を抜かれる。あれよあれよという間に、ものすごい話になって行ってしまうのである。「恐竜が人間と英語で話をする」というと、どっちかといえばファンタジー小説のようだけど、この本はまごうことなくハードSFである。恐竜が英語を話すのだって、ちゃんと科学的な(科学的SF的な)裏付けがあって、ちゃんと納得できるのである。その勢いで、ちゃんと「なぜ恐竜が滅びたのか」って謎をきちんと追っかけては行くのだけど、この物語で解明される謎は、それだけではない。「え、そこまで!」と思うようなことまで、きちんと追っかけてしまうし、その過程で、びっくりするような秘密の話が飛び出してくる。 残念ながら、ストーリィの説明をすることができない。「アクロイド殺し」の犯人を書いちゃうくらい、作品を読む喜びを奪うことになると思う。読むしかない。ただ、実は僕個人にとっては決して読みやすい本ではなかった。おそらく、一人称で話す(というか、日記をつける)男の語り口が、なんとなく重くて固いのだ。41歳のぱっとしない古生物学者で、個人的な悩みもたくさん抱えているとなると、どうしてもこんな文体になるのだろうか。示されるセンス・オブ・ワンダーに比べて、どうも物語の印象がぱっとしたいのは、そんなことが原因のような気がする。もっとも、その文体もこの小説には必要なのだろう、という感じもするのだけれど。 2009/9/12
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