ナイジェリアの獄中から の商品レビュー
真っ当な憤りや鷹揚な韜晦、若者の如く滾らせる希望、精神の底に流れるユーモアとウイット──著者の豊かな人柄が本書の至る所から窺い知れる。世が世なら国を正しく導くこともできただろうこの有能な人材を、しかしナイジェリアの愚鈍な軍事政権は、無表情に地元の少数民族の生活を破壊し続けるシェル...
真っ当な憤りや鷹揚な韜晦、若者の如く滾らせる希望、精神の底に流れるユーモアとウイット──著者の豊かな人柄が本書の至る所から窺い知れる。世が世なら国を正しく導くこともできただろうこの有能な人材を、しかしナイジェリアの愚鈍な軍事政権は、無表情に地元の少数民族の生活を破壊し続けるシェルなどの多国籍資本と結託して処刑台にかけた。人という生き物がどれだけ豊かな可能性を抱き、かつまたどれだけ愚かしくもなれるかという両極端が、本書によって鮮やかに炙り出される。そして、その代償はあまりにも大きい。
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