人生の検証 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ブックオフの本棚のあいだを歩いていると、寺山修司の本をよく見かける。あ、寺山修司だ、と思う。読んだことがないという後ろめたい気持ちになり、つい手に取る。大抵が「ポケットに名言を」で、ぱらぱらと紙を捲っていくと、数々の名言が書いてある。一瞬買おうかと考える。この本から新たな文学人との出会いがあるのではないか。けれどもいつも結局やめる。なんだか幾つかの頁を読んでいっているうちに、自分のはじめに思い描いた読書ができない気がしてくるからだ。「人生の検証」を読んだとき、「ポケットに名言を」でしたいと思った文学人との出会いができたという気になった。 秋山駿は三浦哲郎の解説でいつも名前を見かけ、その文章にいつも感服していた。三浦研究をするうえでこの人のことばを通るのは危なくもある。甘美ではあるけれど、論文を書こうとして引用するとそのことばの魔力が制御不可能であるという問題に直面する。 この本は一冊の本である。けれども同時に、人生というものについての解説文であった。この人の書く「生の態度」ということばを検証していこうと思う。
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