底ぬけビンボー暮らし の商品レビュー
期待どおり
期待どおり適確で明快な内容。
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昭和の男だな・・・と思う。『豆腐屋の四季』その後。 暑くても発電所の増設に反対しているからクーラーもつけず、日本ペンクラブや文芸家協会も会費が払えないから入れない。甥の結婚式に出す祝儀もない。賞も取り、そこそこ名前も知られている作家としては、本当に苦しい生活だと思う。 しかし、...
昭和の男だな・・・と思う。『豆腐屋の四季』その後。 暑くても発電所の増設に反対しているからクーラーもつけず、日本ペンクラブや文芸家協会も会費が払えないから入れない。甥の結婚式に出す祝儀もない。賞も取り、そこそこ名前も知られている作家としては、本当に苦しい生活だと思う。 しかし、ある意味幸せな人だと思う。 主義に反する仕事はしない。必要以上に貰わない。愛する妻と散歩する時間はたっぷりある。子どもたちはいい子に育っている。 だから、読んでも暗い気持ちにはならない。 この経済状態で夫婦仲が悪かったり、子どもがぐれたりしてたら救われないもんね。 しかし、奥さんはどういう気持ちだったのかな・・・。 こんなにしじゅう一緒にいるのは疲れなかったのか。たまには一人になりたい、贅沢したいわけではないけれど子どもたちにもっといろいろしてあげたい、自分だけのものが買いたい、と思わなかったのか。 思わなかったとしたら、奥さんがすごい。 そういう妻を得ただけで幸せなんだから、お金はなくてもいいじゃないか。
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ノンフィクション作家松下竜一氏の、細君との愛情に溢れた底抜けに明るいビンボー生活を綴ったエッセー。飾りのない文章はしみじみと心に届く。 それにしてもノンフィクション作家とはこれほどまでに収入が無いものなのかと驚く。本人は好きでこんな生活をしている訳ではないと仰るが、権力の横暴に...
ノンフィクション作家松下竜一氏の、細君との愛情に溢れた底抜けに明るいビンボー生活を綴ったエッセー。飾りのない文章はしみじみと心に届く。 それにしてもノンフィクション作家とはこれほどまでに収入が無いものなのかと驚く。本人は好きでこんな生活をしている訳ではないと仰るが、権力の横暴に物申し、信念を貫く生き方を誰もが出来るわけではない。だからこそ沢山の人々が松下氏をいろいろな形で応援しているのだろう。 こんなにビンボーな暮らしをされている方の本を図書館で借りてしまって心苦しく思い、松下氏の略歴を調べてみたところ、既に故人となられていた。次は新刊を買って、じっくり読むことにしよう。
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社会派作家の著者も、さすがにビンボー暮らしはこたえるようだ。それでも自分の仕事に対する自信と誇りの表れだろうか。実に明るい“嘆き節”だ。そこには、節を曲げずに書き続けてきた作家としての矜持がある。 長者番付に名を連ねる売れっ子作家はごく一握り。世の大半の作家先生たちはきっと経...
社会派作家の著者も、さすがにビンボー暮らしはこたえるようだ。それでも自分の仕事に対する自信と誇りの表れだろうか。実に明るい“嘆き節”だ。そこには、節を曲げずに書き続けてきた作家としての矜持がある。 長者番付に名を連ねる売れっ子作家はごく一握り。世の大半の作家先生たちはきっと経済的にも苦しんでいるのだろう。そういえば、今もその作品が読み継がれている昔の作家が、誰もが知ってる文学賞に自分を推薦するよう審査員に手紙を送ったという話もあった。 今も昔も作家暮らしは楽じゃない。松下センセ頑張れ!
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