エジプトだより の商品レビュー

ジャングルニエ(著者),大久保敏彦(訳者),松本真一郎(訳者),森本謙子(訳者)

2010/03/30

フランスの思想家・作家で、若いアルベール・カミュに影響を与えたというジャン・グルニエの、エジプト＋レバノン・ノートともいえるエッセイ集。著者がこれらの文章（の少なくとも下書）をまとめたのは、彼がアレクサンドリアに滞在した１９４５年のことというが、この本の初版は６２年。発表時から今日まで３４年という時間の経過にもかかわらず、断片的なこれらの文章の、ときにモンテーニュを思わせる、人間とそれらをかたちづくる社会や人間性についての自由な思索は、ゆたかな読後感を残してくれる。