荷風と東京 の商品レビュー
川本三郎 著「荷風と東京 断腸亭日乗私註」1996.9発行、606頁の大作です。「断腸亭日乗」は、大正6年9月16日(荷風37歳)から死の前日の昭和34年4月29日まで書き続けられた42年間に及ぶ日記。まず手帖に鉛筆でその日のメモを書き、次に万年筆で大型ノートに文章を書く。それ...
川本三郎 著「荷風と東京 断腸亭日乗私註」1996.9発行、606頁の大作です。「断腸亭日乗」は、大正6年9月16日(荷風37歳)から死の前日の昭和34年4月29日まで書き続けられた42年間に及ぶ日記。まず手帖に鉛筆でその日のメモを書き、次に万年筆で大型ノートに文章を書く。それに推敲を重ねて、最後に筆で和紙に書く。病弱で長生きは出来ないとの思いから、身辺を整理し、日記をつけるのは死に向かっていく日々を確認していく毎日の遺書であった。末期の目で周囲を見ていた。一方で、散歩の行動力と女遊びw。 山の手の明治エリートの厳格な家庭に育った荷風の下町好み。荷風の東京散歩は、下町と山の手、東京の町を重層的に眺めていた。下町の江戸文化、日本文化、粋の町、派手好み、商人の町、快楽主義、三味線の音。山の手の明治文明、西洋文化、軍人が多い野暮の町、堅実さ、武士の町、ストイシズム、琴の音。
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