兵隊よもやま物語 の商品レビュー
保守系出版社の発行物…
保守系出版社の発行物。それを認識したうえで読みましょう。
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歩兵の手記かと思って買ってみて、しばらく積んどくしたのち読んだら、日本陸軍航空隊の整備員の手記だった。 よく「置かれた場所で頑張りなさい」なんて、特にこの時期によく聞く言葉だ。 それは、組織の人のきれいごとだと思わない向きもないが、この本の中で、この言葉が実体を伴う一瞬があった...
歩兵の手記かと思って買ってみて、しばらく積んどくしたのち読んだら、日本陸軍航空隊の整備員の手記だった。 よく「置かれた場所で頑張りなさい」なんて、特にこの時期によく聞く言葉だ。 それは、組織の人のきれいごとだと思わない向きもないが、この本の中で、この言葉が実体を伴う一瞬があった。 同じ軍隊にいて、著者ととある仲間の描写。 著者は貴重な青春を軍に浪費されたと考えることがあるという。軍隊への恨みもいだく。 しかし、仲間のほうは、当時も今も、その場で自分のやりたいことをぶつけてきたのだ。厳しい環境にあっても、自分を生かそうとする仲間に、無言の威圧を感じる著者…。 時間は戻らない。 結果は死ぬときに出るのだ…。 私は今、どうやって生きているんだろうと怖くなる。 戦記物は、創作の勉強のために買いあさってみたものの、読まずにずっと置きっぱなしだった。 だが、それでよかった。 若い頃に読んだら分からなかった、人生というものを、まぁ今も大した苦労はしていないものの、それでもちょっとは社会のしんどさは見てきているから、だからこそこの年齢で読んだ方がよかった。 若いころ、大人からいろいろ教訓を聞かされているのに、自分が年を取ってみないことには結局分からない。 そんなものだということを、こういう本で学んでいる。 軍隊だってなんだって、何にも変わらんのだ。
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