時の雨 の商品レビュー

高橋順子(著者)

2016/05/10

図書館ですぐ読めた詩集。車屋長吉さんとの晩婚でも新婚時代も含めてか、、旦那さんが発病して連れ合いとして辛い時期の詩を集めたものらしい。しかし、なんと平和なタッチ、なんとやさしく、静かな詩なんだろう。もっていきようのない感情の吐露などみじんもなく、ただただ音もないくらいの空間に、静かな思いやりが流れるでもなく漂うでもなく収められている。こんなふうな夫婦、こんなふうな感覚を詩にしてしまう高橋順子さんが、もし近所に住んでいたら、もし彼女が近所の喫茶店の片隅にでも座っておられたら、私はそっとちらっと眺めさせてもらいたい。