蒲生邸事件 の商品レビュー
宮部みゆきの作品の中で、一押しは「蒲生邸事件」だと思う。 世に2・26事件を扱った作品は多いが、これは異色だろうと思う。なにしろタイムトラベルというSF要素を取り入れ、しかも、推理小説仕立てになっているという手の込んだ設定なのだ。 だが、この複雑な設定ゆえに、昭和初期という時代...
宮部みゆきの作品の中で、一押しは「蒲生邸事件」だと思う。 世に2・26事件を扱った作品は多いが、これは異色だろうと思う。なにしろタイムトラベルというSF要素を取り入れ、しかも、推理小説仕立てになっているという手の込んだ設定なのだ。 だが、この複雑な設定ゆえに、昭和初期という時代が逆にリアルに感じられるように思える。まず、あの時代の人や空気といったものが、現代と対比することでより鮮明に印象づけられる。次に、謎解きという一種の緊迫感の中で、一気にあの長編を読んでしまう。 ずいぶん前に読んだので詳細は忘れたが、読んでいる時の高揚館と読後の充足感は忘れられない。
Posted by
予備校受験のために上京した受験生・孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。間一髪で、時間旅行の能力を持つ男に救助されたが、そこはなんと昭和十一年。雪降りしきる帝都・東京では、いままさに二・二六事件が起きようとしていた―。大胆な着想で挑んだ著者会心の日本SF大賞受賞長篇。
Posted by
現代人がタイムスリップ、という設定を設けつつ、そのタイムスリップをしても結局歴史は変えられないのなら、要らない設定だったのじゃないか?なんて思ったり。純粋に史実を元にして、当時の人物を主人公にした歴史ミステリーにしたほうが、わかりやすくておもしろかったかも。
Posted by
表紙の雰囲気どおり、昭和初期の邸宅にタイムトラベルしてきた主人公が巻き込まれたミステリ。 自分が生き抜いていない時代を生きた人のことを、既に結果が出ている未来からどうこういうのはどうなのか、という姿勢のフェアさが好きです。 それから、現代に帰ってきた主人公がお父さんと話すシーン。...
表紙の雰囲気どおり、昭和初期の邸宅にタイムトラベルしてきた主人公が巻き込まれたミステリ。 自分が生き抜いていない時代を生きた人のことを、既に結果が出ている未来からどうこういうのはどうなのか、という姿勢のフェアさが好きです。 それから、現代に帰ってきた主人公がお父さんと話すシーン。 ミステリ云々というより、人の台詞が心に残ります。
Posted by
泣ける… 歴史の部分はなんか難しくてよく分からないんだが(でも以前見た映画226でちょっと興味を持ってWikipediaったので多少は…)タイムトラベラーが架空人物とはいえ関わってくってのがまず驚きの発想だよなーっと。しかも226事件とは。やっぱり文章を読んだだけじゃ想像できない...
泣ける… 歴史の部分はなんか難しくてよく分からないんだが(でも以前見た映画226でちょっと興味を持ってWikipediaったので多少は…)タイムトラベラーが架空人物とはいえ関わってくってのがまず驚きの発想だよなーっと。しかも226事件とは。やっぱり文章を読んだだけじゃ想像できない部分が映画で補足されたのでその点ではあんまよくわからんかった映画226見といてよかった。安藤さん…。 1番の読み所はやはり終章。全てが昇華される。カタルシスを感じる。なく。泣かないけど泣きそうになる。切ないよ。まあ孫とくっつくのかなーみたいな余韻はいらなかったな…。もうちょっと恋愛対象から外れる孫だったらよかったのに。気持ち悪いよ。 ハードカバーだと読みにくいのが難点。
Posted by
カテゴリは歴史系にすべきか。宮部みゆき×タイムトリップ×2.26事件。ふうむ。時間旅行者の苦悩や平田の生き方を軸に読むべきなのか、孝史が過去で学んだものをともに探るべきなのか。それともふきの一途(いいかえれば、想い人を胸にしまいこんだまま女はふつうに幸せな結婚出産大往生の人生を送...
カテゴリは歴史系にすべきか。宮部みゆき×タイムトリップ×2.26事件。ふうむ。時間旅行者の苦悩や平田の生き方を軸に読むべきなのか、孝史が過去で学んだものをともに探るべきなのか。それともふきの一途(いいかえれば、想い人を胸にしまいこんだまま女はふつうに幸せな結婚出産大往生の人生を送れるもんなのねー)に胸あつくするべきか。さすがは宮部作品、読めない展開と大団円への見事なカーブにおもわず拍手ではありますが。もうそれ以前にね、2.26事件含む戦争へ走る日本の歴史を知らなさ過ぎる自分がね、どんどん申し訳なくなってきて、なんかへんな胸につかえるものを残してしまった。1936年、つーと、74年前かぁ。その時代を生きた人はまだいる、手の届く過去なのにね。そこから戦争をはじめて、負けて、立ち直った今。負けたからこそこんなに平和な今があるのかもとふと思う。74年先の未来人がいまこの時代にきたらどんな警告をしたいのかな。私は死んでるがきっと息子たちは生き抜いているであろう未来。知らないからこそ、今をいっしようけんめいに生きられるのかもね。歴史なのか冒険なのかSFなのか、読み手によって姿が変わりそうな1冊。こういうの学生の必読図書にしたらいいのかも。感想文合戦がおもしろそう。
Posted by
私は今まで歴史が苦手だったが、歴史を知ろうとしなかった自分が恥ずかしいと思った。 いつの時代を生きていても私が生まれる前には感謝すべきたくさんの人の人生があるということを改めて思い知らされた。
Posted by
私はタイムマシンものが大好きなので、この小説はすーっと引き込まれ、最後まであっという間に読んでしまいました。 戦時中の史実と物語が絡み合い、少し恋愛の要素もあり楽しめます。 最後の胸きゅんも(^-^)ニコ
Posted by
宮部みゆきさんの蒲生邸事件 やっぱり・・・・おもしろい!! これは友達に薦められて読んだんですが間違いないです。 受験生の主人公がタイムスリップで過去に飛ぶタイムトラベルのお話。 時代は戦前の日本で現代とは異なる環境に戸惑う主人公。そして、過去でさまざまな体験を...
宮部みゆきさんの蒲生邸事件 やっぱり・・・・おもしろい!! これは友達に薦められて読んだんですが間違いないです。 受験生の主人公がタイムスリップで過去に飛ぶタイムトラベルのお話。 時代は戦前の日本で現代とは異なる環境に戸惑う主人公。そして、過去でさまざまな体験をするんだけど、私ももちろん戦前の日本がどうだったかなんて全然知らなかったから読んでて初めて知ることもたくさんあった。多分主人公が感じることと一緒だったから尚更共感しながら読んだ感じです。 ってまた前回紹介したクロスファイアに続いて現実離れした話のように思われるかもしれませんが・・・・!! だって本当にリアリティーがあって、ずっとわくわくドキドキで読めるんだもん。 主人公の体験するはらはらドキドキする過去でのシーンは読んでいて最高でした。 やっぱり宮部さんの作品は最高だなって再確認させられた作品でした。 結構分厚くて読み応えもたっぷりですが、面白いからすらすらいけちゃいます。
Posted by
陸軍大将・蒲生憲之邸宅跡に建つ東京のホテルに、受験のために泊っていた孝史は、そこで火災に巻き込まれる。時間旅行能力を持つ平田と名乗る男に助けられて別の時代に逃れることとなるのだが、そこは二・二六事件当日の元陸軍大将の邸宅であった。 蒲生大将はクーデターの勃発を知って自決する。し...
陸軍大将・蒲生憲之邸宅跡に建つ東京のホテルに、受験のために泊っていた孝史は、そこで火災に巻き込まれる。時間旅行能力を持つ平田と名乗る男に助けられて別の時代に逃れることとなるのだが、そこは二・二六事件当日の元陸軍大将の邸宅であった。 蒲生大将はクーデターの勃発を知って自決する。しかし自殺現場からは使用されたハズの拳銃が消えていた。外はクーデターで人の出入りは不可能。果たして事件の真相は? そして現代の青年が見たこの時代とは いい話なんだけど、 売りにくい本、買いにくい本ではあると思った。 タイムトラベルもののSFとして入り組んだ凝った内容ではない。 超常要素があるから殺人事件を扱ったミステリとしては成立しない。 歴史ものとしては主人公のトリップした時代への関与が薄い。 時空を超えた恋愛ものとしての描写は多くはない。 要するにどのジャンルにもしっくり収まらないのだ。 『火車』のような「ジャンルを超えた名作」というのはあくまで土台となるジャンルでのニーズを満たした上で、その文学的価値を認められて成立するもので、最初からその軸足がカテゴライズされにくい作品はまずもって手に取られることが難しい。
Posted by