もの静かな女たち の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
多島の短編には「異国もの」「歴史もの」「海洋もの」「不条理もの」の大きく4つジャンルがある。この短編集は、そのうち「不条理もの」にあたる。文庫版の『私たちの退屈な日々』は「剥がれる」が収録されていないため、手に取った。 ・剥がれる 眼科医の藤川は瀬木という男から自宅パーティーへの招待を受ける。瀬木は網膜剝離で右目を失明しており、左目にも同じ症状が出てきたところを藤川が治した、ということで彼女に感謝していた。理由はそれだろう、と藤川は招待を受けるが…。 剥がれる=(網膜が)剥がれる=網膜剝離である。病態や手術法の描写が詳細かつ解りやすく、のちの『症例A』に通じる作品だと思った。また、多島の「不条理もの」短編のうちでも振り切れた生々しさがある。多島本人も1988年のエッセイで網膜剝離の手術を受けたことを書いているので、自身に降りかかった不条理だからだろうか。また、そのエッセイやのちのことを思うと、執筆当時の不安も投影されているように感じられる。
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ちょい狂いの女の人たちを扱った内容ではあるけれど 結末が暗くないので読んでいてとても楽しめる。 こういう内容で救いがなくなると、 ただ不愉快なだけになってしまうところを うまくまとめている。 むしろ痛快とすら言えるかも。 男の人は嫌かもしれないけど…^^;
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さまざまな女が出てきます。子を持つ母でありながら、彼女たちは立派な女です。いい意味でも悪い意味でも。動機という言葉を辞書で引きたくなるような本だったなぁ。女性不信になりたい方、ぜひ。あ、でも「ねじこむ」の綾子みたいな女性は好きです。たくましくてすてき。見習いたくはないけど。w
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この人の短編は面白い。2冊目を読んで確信しました。出来れば長編も読んでみたいのですが、どうなんでしょうね?
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