香港 の商品レビュー
[ 内容 ] 一九世紀半ば以降に形成される近代アジア市場は、西欧資本主義による閉鎖的アジアの開放の結果とされてきた。 けれども市場を実際に機能させたのは、すでに形づくられていた東アジアと東南アジアという二つの自律的な経済圏であり、中国大陸と太平洋を舞台に展開された多様な流通形態だ...
[ 内容 ] 一九世紀半ば以降に形成される近代アジア市場は、西欧資本主義による閉鎖的アジアの開放の結果とされてきた。 けれども市場を実際に機能させたのは、すでに形づくられていた東アジアと東南アジアという二つの自律的な経済圏であり、中国大陸と太平洋を舞台に展開された多様な流通形態だった。 香港はそこで、中継都市としての役割を歴史的に担ってきたのである。 返還を目前にして、過去に支配的だった地域秩序に回帰しつつある香港の現実とその背景を、アジア史の中にたどる。 [ 目次 ] 第1章 香港と私―南からの中国像を求めて 第2章 香港と日本―補完し合う歴史モデル 第3章 アジアの中の日本―近代日本とアジア・ネットワーク 第4章 一国多制度の試み―一国二制度下の香港 第5章 香港後背地の形成―その地政的位置 第6章 移民と華僑―為替送金ネットワーク 第7章 香港のタイパン―ジャーディン・マセソン商会の歴史 第8章 アジアの金融センター―ネットワーク都市の役割 第9章 新たな香港モデルに向けて―多層型経済社会の運用 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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[隣接中心]その地理的特色を存分に活かして、長い歴史の中で華僑経済や内陸部経済のネットワークの中核に位置した香港。独自の発展と歴史を鑑みながら、1997年の中国への返還目前の香港事情を探っていった作品です。著者は、香港上海銀行史に関する論文も手がけている浜下武志。 香港の歩み...
[隣接中心]その地理的特色を存分に活かして、長い歴史の中で華僑経済や内陸部経済のネットワークの中核に位置した香港。独自の発展と歴史を鑑みながら、1997年の中国への返還目前の香港事情を探っていった作品です。著者は、香港上海銀行史に関する論文も手がけている浜下武志。 香港の歩みをつぶさに追いかけるというよりは、香港という視座の面白さ・多様さを紹介してくれる一冊。まとまりのかける記述が読みづらいことは難点なのですが、ネットワークに支えられ、なおかつそれを支えた都市の魅力が詰まった作品だと思います。 執筆されたのが、中国への変換目前ということもあり、香港ナショナリズムも念頭に置きながら、その当時の留意点を洗い出している点も、改めて今日から振り返ると大変興味深かったです。「中国」という言葉だけでは括りきれない(まったく括れないわけでは当然ないと思いますが)香港のダイナミズムを再確認することができました。 〜香港が伝統的中国文化とともにヨーロッパ・英語圏の一部としてその歴史を辿ってきたことを振り返ってみれば、香港が持っている幅の広さはどのような地域に対しても適用を可能とさせる特色を持っていることになる。〜 ぜひ訪れてみたい都市の1つです☆5つ
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