孤独の政治学 の商品レビュー

レイモンポラン(著者),水波朗(訳者),田中節男(訳者),西嶋法友(訳者)

2014/01/25

ルソーの政治学の特質を「孤独」という観点から描き出そうとする研究。とはいえ、ここで言われる「孤独」というのは、『孤独な散歩者の夢想』で描かれるような「孤独」というよりは、『不平等起源論』で想定された、人間の本質、自分だけで満ち足りているような人間の自然本性である。これを国家において実現するための論理を『社会契約論』が提供する、という理解のもと、ルソー思想に全体主義、集団主義を見出そうとする解釈を精緻に退けている。さらに、カントやヘーゲルにおけるルソーの受容も視野に入れられており、思想史的にルソーを理解したい人間にとっても非常に有用な研究となっている。