月の裏まで走っていけた の商品レビュー
名前がミステリアス。装丁もシンプルでカッコいい。大好きな内容。僕はどちらかというと、Qのようなやつ。この本を薦めてくれた友達はRのよう。
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『真っ白い恍惚よりも、どんなときにも自分を失わないしっかりしたメタリック・イエローの覚醒が欲しかった』 Qはきっとピラミッドを完成させるだろう。Qのような人間こそ、完成させることができるのだろう。 私にももしピラミッドと呼べるようなものがあるならば、きっとそれは永遠に未完成...
『真っ白い恍惚よりも、どんなときにも自分を失わないしっかりしたメタリック・イエローの覚醒が欲しかった』 Qはきっとピラミッドを完成させるだろう。Qのような人間こそ、完成させることができるのだろう。 私にももしピラミッドと呼べるようなものがあるならば、きっとそれは永遠に未完成のピラミッドだ。完成することなんかない、頂点に立つことなどないとどこかで思いながらも、ときどき小さな子供が夢を見るみたいに銀色のピラミッドのてっぺんに座っている自分を夢想したりもする。私はQのように強くもないしRのように賢くもない。Qには憧れるけれど、Qのような生き方をするには私は弱すぎ、同時に図太すぎる。すぐに刹那的な快楽に身を任せたがり、自己保身だけが得意な人間だ。 最初からあきらめている私には積み立てていたピラミッドが壊れたとしてもそれほど失望はないだろう。だけどQのように激しい野心をもつ人には、きっとすごく怖いはずだ。怖くて投げ出したくなったり逃げ出したくなったりするかもしれない。でも、それでも、本当にてっぺんにたどり着けるのはそういう人だけなのかもしれないと思うと、やっぱり私はQを羨ましいと思う。 ひとは自分にとってほんとうに大切なものが、意外とわからなくなっていたりするのかもしれない。Qのようにほんとうに大切なものだけを大切にするのはすごくむずかしい。
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