わが回想の谿々 の商品レビュー

白石勝彦(著者)

2013/11/02

昭和40〜50年代の源流大岩魚釣行記。
杣道を行き山を超え滝を登りゴルジュをへつったその先にいる大岩魚を釣り上げる。今まさに自分がハマってる世界でどんどんページをめくってしまう。鉱毒が出て魚が住まない川のその上に取り残された沢を見つけ、イワナの楽園を発見したりとしてやったり！という話もある。
しかし山林開発、渓流ブーム、そしてどこそこでいい釣りをした！という著者の話から、深山のイワナの楽園はどんどんその輝きを失ってただの普通の水の流れになってしまう。
エピソードの後半はそうした事への後悔や懺悔になっている。
そして著者は1990年代に、このままでは放流された魚を釣る事になるだろう、放流した魚で沢毎に個性のある固有種のイワナは淘汰されたり交配してついにはいなくなってしまうだろうと予言した。
それから20年経った今、状況はどうだろうか。
様々な想いが胸にいつまでも残る本であった。