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ジーンウォーズ の商品レビュー

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2019/01/04

ヒトゲノム計画における多くの当事者間のやり取りについて記したノンフィクション。 著者のクックディーガン氏は、米国議会とNIHの関係者として計画に関わった科学者で、科学的説明のみならず、政治的・行政的側面、社会的・倫理的側面についてもかなりのページ数を割いていることに本書の特徴があ...

ヒトゲノム計画における多くの当事者間のやり取りについて記したノンフィクション。 著者のクックディーガン氏は、米国議会とNIHの関係者として計画に関わった科学者で、科学的説明のみならず、政治的・行政的側面、社会的・倫理的側面についてもかなりのページ数を割いていることに本書の特徴がある。 また、国際的観点からの記述も多く、最終的には国際的なヒトゲノム計画には参画しなかったソ連・ロシアのゲノム計画を取り上げた点は、本書のユニークな点と言える。さらに、バブル経済の直中にあった日本のゲノム計画が米国内で日本脅威論の文脈で取り上げられていたことは興味深い。一方で、著者は外国人の視点で当時の日本の科学行政を分析し、縦割りの弊害を的確に指摘している。結果的には、エネルギー省とNIHという異なる省庁が緊張関係を持ちつつもこの国際プロジェクトを主導した米国とのコントラストが描かれていると思う。 なお、本書はゲノム計画進行中の1994年に出版されたものであり、必然的に計画末期のベンター率いる民間企業との競争については書かれていない。

Posted byブクログ