ロシア社会とユダヤ人 の商品レビュー
ロシアでのポグロムは全てのユダヤ人が対象になったわけではない。ロシア人が住むユダヤ家庭は破壊を受けなかった。さらにロシア人労働者に誠実で評判のあるユダヤ人の家屋のいくつかは無事に残った。民衆による日常のユダヤ人に対する感情が暴動に反映した 。 ポグロムは口論、喧嘩などの小さな争...
ロシアでのポグロムは全てのユダヤ人が対象になったわけではない。ロシア人が住むユダヤ家庭は破壊を受けなかった。さらにロシア人労働者に誠実で評判のあるユダヤ人の家屋のいくつかは無事に残った。民衆による日常のユダヤ人に対する感情が暴動に反映した 。 ポグロムは口論、喧嘩などの小さな争いをきっかけにして、都市においても村落においても、居酒屋、市場、下級食堂などの両下層民が日常接する場所において、ポグロムは発生した。ユダヤ人に対して抱く日常的な敵意というものがポグロムに反映した。それは破壊活動はほとんどの場合ユダヤ人に限定されていること、ロシア人にも評判の高いユダヤ人は襲撃されなかったことなどにも表れている。しかも、民衆は富裕ユダヤ人よりはむしろ同じ下層ユダヤ人を攻撃した。彼らの行為は掠奪が目的ではなく破壊することに集中されていた。これらの事実から、ポグロムは経済的利害によるユダヤ人ブルジョワジーに対するロシア人プロレタリアートの闘争ではなかったと考えられる。なぜなら、もしそのような闘争であるなら、ロシア人は富裕ユダヤ人を攻撃し、しかもその家財を掠奪することに集中すると考えられるからである 。 ポグロムが発生する直前には噂も広がっていた。ユダヤ人を攻撃し掠奪せよとの皇帝命令があった、ユダヤ人は搾取したので攻撃してもよい、ユダヤ人は皇帝を暗殺したので攻撃してもよい等、反ユダヤ的なものだった。噂を広めたのは、主に出稼ぎ労働者だった。また地方への旅行者、キエフへの巡礼者、親戚訪問者などもポグロムの情報、噂を広めていた 。
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