記憶 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
写真と記憶では、バルトの『明るい部屋』が取り上げられる。撮影は指差す行為でしかない。語るのは後から見る者の役目だ。写真を撮るとき、その瞬間は未来から見られる過去となる定めを負う。可視光線(現在と、写された過去)を目で見るという二重構造。写真を見るとき、未来すなわち死を感じる(つまり哀悼)のはそのためだ。写真はそのものが不在を証明する。不在の輪郭をなぞること(スペイン語 retratar)。ジャコメッティの場合は遠ざかる記憶を、小さな彫像に作ることで表現した。記憶の強弱を距離に置き換え、さらに大小に変換、彼の作る像はどんどん小さくなっていった。遠くへ押しやったにも関わらず、制作には顔をもっと近づけなくてはならない。その矛盾が哀れでもある。作家は指先でこねながら、記憶を紡ぐ。最後はベルクソンの、現在から未来への逆円錐モデルを引用、そのバベルの塔の建築に言語は欠かせないと説く。言語による記憶。現在は未来によって語られる。
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記憶はとっても気になっていたものなので、港千尋さんのお話を伺って飛びついて読みました。 芸術的創造という切り口で記憶について書かれているのですが、芸術家やその作品だけではなく幅広く脳科学や心理学、人類学などからも考察されています。理解できたとはおこがましくてとてもじゃないけど言...
記憶はとっても気になっていたものなので、港千尋さんのお話を伺って飛びついて読みました。 芸術的創造という切り口で記憶について書かれているのですが、芸術家やその作品だけではなく幅広く脳科学や心理学、人類学などからも考察されています。理解できたとはおこがましくてとてもじゃないけど言えませんが、読んでよかったと強く思います。 脳科学とフロイトさんの精神分析の親和性を感じ「最新の脳科学でフロイトさんの説を跡づけるような本ないかなぁ~?」と考えていた私にとって、『フロイト草稿の再評価―現代認知理論と神経心理学への序文』(1988/7 K.H. プリブラム (著), M.M. ギル)などへの言及はまったくもって縁だなぁ~と驚きました。 「あいちトリエンナーレ」行きます! Mahalo
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