ヘーゲルの精神現象学 の商品レビュー
意外と面白く読めた。ヘーゲルおじさんの”世界とは何か”講釈なのよね。今あるこの世界はどのように今あるようになったのか、を渾身の力をこめて理解して、講釈師よろしくヘーゲル流の語り口で伝えてくれる。西田幾多郎なども結局はヘーゲル流の言葉使い=問題設定からそう出れてはいないのがこういう...
意外と面白く読めた。ヘーゲルおじさんの”世界とは何か”講釈なのよね。今あるこの世界はどのように今あるようになったのか、を渾身の力をこめて理解して、講釈師よろしくヘーゲル流の語り口で伝えてくれる。西田幾多郎なども結局はヘーゲル流の言葉使い=問題設定からそう出れてはいないのがこういう解説を読むとよくわかる。本物よりこうした解説本の方がコンパクトで流れが捕まえやすいように思った。”絶対精神”くんの冒険譚としてメタフィクション的に読むのも面白いかも、ですね。
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日本のヘーゲル研究の先駆者による『精神現象学』の解説書。この解説の成立事情については、小倉志祥による解説に詳しい。本書は、『精神現象学』の根本テーゼを「実体(ないし絶対者)は主体である」だとし、その証明がいかにして行われているかを、カント哲学や著者自身の考えとも比較しながら論じて...
日本のヘーゲル研究の先駆者による『精神現象学』の解説書。この解説の成立事情については、小倉志祥による解説に詳しい。本書は、『精神現象学』の根本テーゼを「実体(ないし絶対者)は主体である」だとし、その証明がいかにして行われているかを、カント哲学や著者自身の考えとも比較しながら論じている。認識論の序説という一つの位置づけからして、「精神」以降の取り扱いはヘーゲルが念頭に置いていたであろう歴史的事実の再構成という趣がだいぶ強くなっているが、ここにおいてヘーゲルがキリスト教の教義を哲学的に表現しようとしているという著者の理解が現れている。難解で知られる『精神現象学』を理解するには、このような解説が不可欠であると思われる。その点で、いささか古い研究であるとはいえ、今日でもなお有用なのではないかと思われる。
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『精神現象学』の翻訳で知られる著者による入門書。小中学校の教員によって構成される南佐久哲学会で著者がおこなった6日間の講義をまとめたもの。 『精神現象学』という書物ではあらゆる哲学上のテーマが扱われているが、この本では、「意識」が対象の知覚というもっとも低次の段階から出発して、...
『精神現象学』の翻訳で知られる著者による入門書。小中学校の教員によって構成される南佐久哲学会で著者がおこなった6日間の講義をまとめたもの。 『精神現象学』という書物ではあらゆる哲学上のテーマが扱われているが、この本では、「意識」が対象の知覚というもっとも低次の段階から出発して、経験を積んでゆくことでしだいに高次の段階へと進み、絶対の他在の内に自己を認識する「絶対知」に至るという中心モティーフに絞って解説がおこなわれている。『精神現象学』全体のストーリーの明快な見取り図を与えてくれる、わかりやすい入門書だと思う。
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本書は東大教授で、第二次大戦前にはじめてヘーゲルの「精神現象学」の完訳(いまだ定訳となっている)を試みた、金子武蔵氏(1905~87)が長野県南佐久郡哲学会(小中学校の教員が主なメンバー)で講演したものである。だから話し言葉で書かれており、読みやすい。さすがに、訳者であり、難解な...
本書は東大教授で、第二次大戦前にはじめてヘーゲルの「精神現象学」の完訳(いまだ定訳となっている)を試みた、金子武蔵氏(1905~87)が長野県南佐久郡哲学会(小中学校の教員が主なメンバー)で講演したものである。だから話し言葉で書かれており、読みやすい。さすがに、訳者であり、難解なヘーゲル哲学を噛み砕いて説明されている点がありがたい。 ヘーゲルという人はその時代の考えられる限りの知性で、哲学を体系づけたすごい人だと思う。今もし、ヘーゲルが生きていたら……..と思うと、どんな哲学体系を生み出してくれたか計り知れないものがあるだろう。
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