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憂鬱なる党派(上) の商品レビュー

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2015/04/27
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※このレビューにはネタバレを含みます

語り口はとても好きなので他のを慎重に選んで読みたいな、と思った。ものすごくきもちわるい?どうしようもない悲しさのような?所と言葉がすごいきれいだな、と思う所があって、難しくしようと思えばいくらでも難しくできるし、簡単にしたらしたで空しいような…これは落ち込んでる時に読めない本だと思った。下巻が手に入らないまま読んだけれどこれはこれでいいのかもしれない。青戸さんが気になるなー…。 「~愛されない嬰児がよく道ばたに寝ころがって足をばたつかせてわめいてるだろう、自分を忘れないでくれってね。醜態だ、それは。そういう場合に心理学者は、泣きわめくのが阿呆くさくなるまで放っておくことにしている。」 「~もし、孔子や孟子が軍勢をひきいて攻めてきたらどうするか。その江戸時代の儒者は答えた。孔子や孟子の教えで戦う、と。気骨のある奴はいることはいたんだ。真の学問とはおそらくそういうものを意味するに違いない。」 「しかし、ずりむけた背中の皮をひきずりながらぞろぞろと救護所に歩いて行った罹災者も、ヨードチンキを爛れた肉塊のようになっている赤児にぬっていた医者も、みな無言だった。君も覚えているはずだ。都会全体が、焼けおちる家屋のたてる物理的な物音以外には、全くの沈黙の世界だったろ。人々には、眼前に起っている情景が信じられなかった。どんな判断も、どんな価値基準も、その現実を裁断することはできなかったからだ。意義づけは、いつも後からやってくる。」 「~愛なんてものはつまり、人間が生きていくのに一番楽な態度であってね。~性懲りもなくそんなことに興味を持つのも要するに彼女たちが怠け者だからだ」 「~人間なんて皆が皆救われようのないエゴイストなんだわ。だから、だからこそ、わたしは自分を捨てて泉みたいに清純に敬虔になって、だれかに奉仕したいと思うのよ。」 「言ったな。~この世の中にはそんな馬鹿げた愛なんてものは絶対ありえず、自分に忠実になれば、それはただちに他人さまへの裏切りになるのがオチだ。虚無にでもならん限り、~それにしてもおれたちは何故こういつまでも阿呆で、無邪気なんかな。」 「権力という奴は、なにも般若面をかぶって、居丈高に棍棒をふりあげてばかりいるとは限らない。じわじわと六年も七年もかかって、集団をばらばらにしておき、一人一人の首を真綿でしめあげていくんだ。~成功すれば英雄だが失敗すれば重犯罪人だからね。~互いに憎しみ合うようになったのも無理はないんだ。」

Posted byブクログ