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東京発モスクワ秘密文書 の商品レビュー

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2011/10/03
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この本はロシア政治の権威、中村逸郎先生の処女作である。 ビューロー会議議事録やオクチャーブリ文書などの機密文書を基にした分析と、長年に渡るフィールドワークで積み重ねた論理の融合は見事としか言いようがない。また、オクチャーブリ地区党委員会の実態を明らかにすることで「ソ連共産党は厳しい規則に縛られた上意下達式組織である」という一般的なイメージを根底から打ち崩してくれた。『組織も政治も「そこに実際に生きている人」が動かしている』という当たり前のことを再認識した。 まるで小説を読んでいるようだった。 実際の会話や場所の様子が丁寧に描かれているため、その場面を容易に頭に描くことができる。当時の状況をイメージすることができるので、ソ連崩壊という激動の時代を読み解くための良い本となるだろう。 1995年に刊行されたとはいえ、情報に裏打ちされたロシアへの先見の明は流石である。非常に読みやすい本なので、中村逸郎先生のその他の著書と合わせて読むことをお勧めしたい。

Posted byブクログ