弓削道鏡(下) の商品レビュー
(上巻から続く)黒岩が描く道鏡は世上で言われる単なる出世欲の権化などではない。野心こそあるが、一方で多数の病に苦しむ庶民のために感染の危険を犯して治療に当たった。仏法の勉学と宿曜秘法の修得に励み、日々の精進を怠らない。法力を身につけるために山に長期間こもり、自らに荒行を課し、心を...
(上巻から続く)黒岩が描く道鏡は世上で言われる単なる出世欲の権化などではない。野心こそあるが、一方で多数の病に苦しむ庶民のために感染の危険を犯して治療に当たった。仏法の勉学と宿曜秘法の修得に励み、日々の精進を怠らない。法力を身につけるために山に長期間こもり、自らに荒行を課し、心を磨いた。位を極めて尚、誰にでも優しいために人を魅了する力を持っていた。そして若き日に出会った阿倍内親王(孝謙・称徳天皇)への一途な愛。僧として最高位まで登りつめた理由は、彼の努力にあったのである。後世の豊臣秀吉にも劣らない奈良期の立志伝ということができよう。もちろん彼が法王にまでなったのは女帝の引きたてによるものであるが、気位の高い女帝を虜にしてしまったのは、道鏡の看病禅師としての力量と人間的な魅力である。 そして宇佐八幡宮神託事件が起こる。結果はご存知の通りであるが、なぜ和気広虫・清麻呂姉弟の奏上をもって道鏡は皇位を諦めてしまったのか。本書の通りだとすると、一応の説明はつく。すべては女帝への愛を貫くためだったのだろうか。黒岩が四年の歳月をかけて、奈良期の動乱と、ひとりの傑物の生涯を描ききった純愛物語である。
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下巻の半分くらいは、仲麻呂の乱に至るまでの経緯、戦の際の戦術などが丁寧に描かれていて、それが詳細すぎて少々飽きました。兵法なんて興味ないし。 が、後半の神託騒動については、結果が分かっているのに手に汗握る展開で楽しめました。和気清麻呂頑張った!! ココを境に天皇家の血筋が天武系から天智系に変わるんですよね。 終盤に藤原百川が登場し、仲麻呂以来権力をなくした藤原家の再興の兆しをみせつつ物語を終わらせる展開がうまいなあ~、と感心しました。 道鏡と孝謙の関係はこの本では恋愛関係、ってことになっていて、私もやっぱりそれが一番しっくりくると思いました。 描写はドロドロしてるけど、基本的には最後まで純愛です。ちょっとロマンチックすぎるような気もしますが古代、天皇と臣下の恋愛はこうでしょ!と納得感もありました。。
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~裏表紙より~ 寝具に包まれた孝謙女帝の身体が動いた。 『道鏡法師、眠れぬ、朕の手を法師の大きな掌で包むのじゃ』 時の最高権力者、藤原仲麻呂の首級をあげた女帝は道鏡を法王に就かせ、 天皇位まで譲る決意を固めた……。 公人と私人、政治と恋情のはざまで身を焦がす二人。 人間...
~裏表紙より~ 寝具に包まれた孝謙女帝の身体が動いた。 『道鏡法師、眠れぬ、朕の手を法師の大きな掌で包むのじゃ』 時の最高権力者、藤原仲麻呂の首級をあげた女帝は道鏡を法王に就かせ、 天皇位まで譲る決意を固めた……。 公人と私人、政治と恋情のはざまで身を焦がす二人。 人間の不易を哀歓の情をこめて映し出す迫真の歴史絵巻。 ~感想~ 修険者に憧れ、滝にうたれるも、 女性とのセッフフの煩悩が消えず、 常に悶々としてるところに、非常に共感した。( ̄∀ ̄*)イヒッ 戦前は天皇崇拝の時代であっただけに、 女帝とセッフフの関係があった 道鏡の話をすることさえ禁句だったらしいよ。 俺自身も、 これを読むまでは単に妖僧ってイメージしかなかったけど、 それは全て後世の人がつけたイメージで、 ホントはそうでなかったような気がするわ。 実際、現代に至って道鏡の見方は変わってきてるらしいしね。 永井路子の本の中でも、道鏡を讃えるのがあるけど、 ホントにこの二人は純愛を貫いたんやな~って思う。 権力よりもまず、女帝に対する愛情が深かったんだわ。 男尊女卑な時代にあって、この一途な姿勢はどうよ? なんか凄い感動したね~(ノД`)・゜・。 そして、この道鏡って男に惚れました…(*ノェノ)キャー おしまい。
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寝具に包まれた孝謙女帝の身体が動いた。「道鏡法師、眠れぬ、朕の手を法師の大きな掌で包むのじゃ」。時の最高権力者、藤原仲麻呂の首級をあげた女帝は道鏡を法王に就かせ、天皇位まで譲る決意を固めた…。公人と私人、政治と恋情のはざまで身を焦す二人。人間の不易を哀歓の情こめて映し出す迫真の歴史絵巻。 1997年7月28日購入
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黒岩道鏡は、確かに天皇位を狙いはしたけれど、 基本は孝謙天皇との愛があればこそ、である。 政治権力をめぐる闘争シーンももちろん読み応え十分だが それ以上に、二人の身を焦がすような、生涯をかけての愛もすばらしい。 『愛』が黒岩重吾の手にかかるとこんなにすごいものになるんだなぁと(笑...
黒岩道鏡は、確かに天皇位を狙いはしたけれど、 基本は孝謙天皇との愛があればこそ、である。 政治権力をめぐる闘争シーンももちろん読み応え十分だが それ以上に、二人の身を焦がすような、生涯をかけての愛もすばらしい。 『愛』が黒岩重吾の手にかかるとこんなにすごいものになるんだなぁと(笑)
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