ヒジュラに会う の商品レビュー
ちくま文庫が好きだ。…
ちくま文庫が好きだ。骨太なノンフィクションやルポが多い。文庫としての選択眼を感じる。本作品もさらりと読み飛ばすにはちと重い、しかし決してしんどくはない、でもまじめな読後感を残してくれる本。興味本位で読み出してもいいとおもうよ。
文庫OFF
・インド社会の奥深くに潜入する、紀行文のような、文化人類学のレポートのような本。 ・謎に満ちた集団「ヒジュラ」に迫っていくミステリー要素が、ぞわぞわするおもしろさ。 ・出版時1980年代のインド社会が知れるだけでもすごく興味深い。 ・文章はわかりやすくて、時に文学的で惹き込まれた...
・インド社会の奥深くに潜入する、紀行文のような、文化人類学のレポートのような本。 ・謎に満ちた集団「ヒジュラ」に迫っていくミステリー要素が、ぞわぞわするおもしろさ。 ・出版時1980年代のインド社会が知れるだけでもすごく興味深い。 ・文章はわかりやすくて、時に文学的で惹き込まれた。 ・あとがきで「参考文献が見つからなかったから伝聞を下敷きにした」って書いてて、あらためて貴重な記録だなあと驚く。 ・旅の記録としても、社会の潜入レポートとしても、人間ドラマとしても、ものすごくおもしろかった...!
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※このレビューにはネタバレを含みます
インドでは両性具有の人たちがヒジュラと呼ばれ、乞食や芸人のようなことをして暮らしている……ということを知った著者が彼らの生きざまにのめりこみ、交流の中でやがて彼らの正体と人生と哲学(宗教と著者は言うが)に迫っていく…という内容。 子どもの頃(15年以上前)におそらくヒジュラを題材にしたインド映画をNHKで見たことがあり、その時には性同一性障害のような青年が苦しみの中で家を出てヒジュラになる、普段は蔑まれているがとある決まった祭りの時にだけ美しく着飾り、大手を振って晴れの場に出ることができるという話だったと思う。その性自認がばれた時点で勘当は当然、親に殺されてもおかしくないくらいの一族の恥になるという。この著者が大多数のヒジュラの本当の出自として知った事実と、大体一致する。ヒジュラ以外の何物にもなれないという確固とした自意識と強い絆、それでも去勢した過去を他人には隠し、仲間の死に際して「もう二度とこんな体で生まれてくるな」と激しい暴行を繰り返すという話。これがチャクラだから、と受け入れるインド人の達観した世界観が大河のごとき強さで著者の疑問を押し流そうとする。 よく知りもしないヒジュラにインドの本質や宗教的バックグラウンドの幻影を見て、「真実の姿」を求めて彼らに問答してはがっかりし、別の町へという流れはどうかと思うのだが、その果てに答えらしきものが立ち現れてくるのは著者の執念ともいうべき粘り強さの賜物だ。彼らとて突然現れた謎の外国人に自分たちの内情や心情をペラペラしゃべったりは当然しない。よそ者が分かった気になって何かを断じていい話でもない。そう思うのだけど、戸を叩きなさい、そうすれば開けてもらえますというのもまた真かな。
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内容(「BOOK」データベースより) 女装をし歌い舞う、ヒジュラと呼ばれる人々―男でもない、女でもない。半陰陽だからこそ、性にも悩み迷う。家族を断ち、カーストを断ち、肉欲を断ち、独自の社会を形成する。それがヒジュラだ。―「彼ら」の世界へ入り、共に生活しながら、ヒジュラの謎を追い続...
内容(「BOOK」データベースより) 女装をし歌い舞う、ヒジュラと呼ばれる人々―男でもない、女でもない。半陰陽だからこそ、性にも悩み迷う。家族を断ち、カーストを断ち、肉欲を断ち、独自の社会を形成する。それがヒジュラだ。―「彼ら」の世界へ入り、共に生活しながら、ヒジュラの謎を追い続け、その宗教性、歴史、カースト制、風俗を考察・探求した衝撃のノンフィクション。
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