ジャック・ロンドン放浪記 の商品レビュー
1892年から94年ころの体験、列車の屋根に載ったりしてアメリカ中を放浪する「ホーボー生活」を記したもの。1907年発表。原題「THE ROAD」 まずは食糧調達。降りた町で民家の玄関に立ち「食べ物をください」とお願いする。リノでのある日、運悪くなかなか恵んでくれる家がない。そ...
1892年から94年ころの体験、列車の屋根に載ったりしてアメリカ中を放浪する「ホーボー生活」を記したもの。1907年発表。原題「THE ROAD」 まずは食糧調達。降りた町で民家の玄関に立ち「食べ物をください」とお願いする。リノでのある日、運悪くなかなか恵んでくれる家がない。その家では旦那がでっかいミートパイにくらいついていたが、ジャックをみると「おまえは働きたくないんだろう、食い物が欲しいなら、俺のレンガ積みの仕事をしてからだ」「いや、まずは食い物を」「いや仕事が先だ」そして「仕事をすれば俺みたいに金持ちになるさ」というが、ジャックは「みんながみんがあなたのようになったら、あなたのためにレンガ積みの仕事をする人間が一人もいなくなりますよ」・・でも結局食べ物はもらえなかった。 ユーモアというか減らず口というか、なかなかのものである。どういう風に頼むかは、相手の風貌をみて一瞬のうちに作り話をする、みなしごだとか、インドから帰ったばかりだとか、そういうホラ話の作り話をした訓練のおかげで、後に作家として成功したのだ、と記している。 原文がどうか分からないが、なんというか読んでいて疲れる。最初の数ページで終わりに。小説の方がおもしろい。機会があったら読み進めたい。 1.貨車のすきまに 2.食卓の幸運 3.鞭打ちの光景 4.刑務所の生活 5.作業所の囚人たち 6.最高の放浪者 7.ロッキードの社会学 8.ニ千人の放浪者の行進 9.デカの追跡 7.ロッキードの社会学 放浪の旅に出たのは、「身体のなかに生命力があったからであり、私の血のなかにいっときも私を休ませまいとする放浪癖があったから」 そもそもの始まりは16才の時、故郷のオークランドで”牡蠣泥棒のプリンス”と呼ばれていたが、盗まれた船を運んでくれと友人に頼まれ、船を乗り継いだのが最初だったようだ。 1995.5.20初版第1刷 図書館
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アメリカ大陸横断鉄道の黎明期に、列車にタダ乗りしては全米を股に掛ける放浪者群がいたという。その名をホーボー。 ジャック・ロンドンと言えば、「野性の呼び声」などの作品をものした20世紀初頭のアメリカ文学の寵児。若い頃、彼もまたホーボーの一人だった、それもとびきり“優秀”な。 こ...
アメリカ大陸横断鉄道の黎明期に、列車にタダ乗りしては全米を股に掛ける放浪者群がいたという。その名をホーボー。 ジャック・ロンドンと言えば、「野性の呼び声」などの作品をものした20世紀初頭のアメリカ文学の寵児。若い頃、彼もまたホーボーの一人だった、それもとびきり“優秀”な。 この本は、その時期のことを綴った自伝のようなものである。列車に潜り込むさまざまな手口や、車掌・制動手といった係員をいかに出し抜くか、行った先々での物乞いの上手なやり方…などのわくわくする冒険談。 もちろん、著者のように“優秀”なのもいれば、新米のうすのろのと揶揄されるような“できない”奴もいる。 なにしろ放浪ひとつ取ってもスケールが違うなぁと舌をまく部分がありつつ、誇り高き放浪者であっても、例えば平凡な労働者であっても、結局人生の成不成を分かつものは才能のあるなしなのよね、とちょっと空しくなる本でもある。 こういう本を読んで空しくならずに、漂泊の望みに取り憑かれちゃう人もいるに違いない。それまたひとつの才能なんだろう。
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『荒野の呼び声』の作家が、列車にただ乗りして北米中を旅した、若きホーボー生活の日々を回想したエッセイだ。 14,5歳から旅に出るようになったジャック・ロンドンは、40歳にも満たない年で亡くなっている。短すぎる生涯はそのせいではないかと思うほど、ホーボーたちの生活は過酷だ。たどりつ...
『荒野の呼び声』の作家が、列車にただ乗りして北米中を旅した、若きホーボー生活の日々を回想したエッセイだ。 14,5歳から旅に出るようになったジャック・ロンドンは、40歳にも満たない年で亡くなっている。短すぎる生涯はそのせいではないかと思うほど、ホーボーたちの生活は過酷だ。たどりついた先々で物乞いをするか日雇い仕事で食をつなぎ、いつ逮捕されるか、列車から放り出されて不具になるかもわからない。命を落とす者も多かった。社会保障が整備された今日からみれば、悲惨としか言いようのないホームレスの状況だが、本書には、きらめくような言葉で、自由への情熱が綴られている。 ロンドンは、仲間たちからも一目おかれるほど腕のいいホーボーだったようだが、鉄道員や警官との攻防を回想する際にも、マッチョぶって自分を美化するようなそぶりは見えない。「権利」や「民主主義」という言葉が通用しない世界があることを思い知らされ、ショックを受けながらも、その世界に馴染んで生き抜いていく自分を、分析も感傷もなく、ただ真っ直ぐに見つめているだけだ。 子どもや妻を虐待する、動物にも劣る男の振る舞いを止めることができない自分自身にじっと耐えながら、そこから2マイルも離れていない場所で2人の女性ととった文明的な「食卓での食事」を思い出すロンドンは、こんな風に書いている。 「この光景を見ない限り、彼女たちはジプシーの女性たちのことも〔私たちは自分の同類のことも〕、自分自身のことも理解できないし、自分がどんな粘土によって作られているかもわからないだろう」。 ロンドンにとって「自由」とは、この巨大で過酷な世界を知るための、生命を使った跳躍だった。そこには、ちっぽけで非力な同類たちの一部としての自分はあっても、肥大化する自意識のようなものは介在しえない。自然を描き続けた作家ロンドンの魅力を再発見させてくれる、瑞々しい文章の力を堪能できるエッセイだ。 当時のアメリカ社会に関する解説に巻末のブックガイドまで、ていねいで思いのこもった編集もすばらしい。
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ジャック・ロンドンやジャン・ジュネの作品が名文学として成立しているのを知ると、いかにアカデミックな経験が無駄であるかよくわかる。 本書は想像力を働かせて書いた小説というより、もはや記録に近い。その分、現実において相当の想像力が必要とされるのだが。 翻訳を通じて読んだため、実際の言...
ジャック・ロンドンやジャン・ジュネの作品が名文学として成立しているのを知ると、いかにアカデミックな経験が無駄であるかよくわかる。 本書は想像力を働かせて書いた小説というより、もはや記録に近い。その分、現実において相当の想像力が必要とされるのだが。 翻訳を通じて読んだため、実際の言葉の選び方は分からないが、とても純粋で無邪気な少年の話しを聞いているみたいだった。 ミルトンの失楽園の「天国で下僕になるよりは、地獄で頭になるほうがまし」という文に共感しているのをしかり。 続けて、荒野の呼び声を読んでみたいと思う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
古本屋で見かけたので購入。読んでみたいと思ってた奴だ、って思って買ったけど、それは『どん底の人々』だった…間違えた。地球人ライブラリーというやつのうちの一冊らしい。 面白かった。 1890年代、ジャックロンドンさんが若者でアメリカを放浪していた頃の冒険譚みたいな感じの話。当時のホ—ボーと呼ばれる浮浪者?達の生活の感じがとてもリアルに書かれていて、へえ!と思いながら読めた。ホーボー達は電車にただ乗りしたり、放浪罪で刑務所に入れられたり、泥棒したり物乞いしたりとなかなか波瀾万丈な日々を送っていたようだ。ロンドンさんは彼らの中でもなかなか観察眼が鋭くてしたたかな人だったようで、この人は商売やっても成功しそうだなあと思いながら読んだ。 •当時の人たちにこういう話はどういう風に受け入れられたんだろうか、というのが気にかかった。不況で失業率も高くて、社会保障も整備されていない。まともにやっていてもうまく生きていける保証がなくて、いわば失うものがない状態。そこに「放浪、冒険のスリルに満ちた日々」っていう、金がなくても始められるかっこ良さを存分に伝えてくれるこういう本は、今の自分たちが感じるよりもずっと深く心に響いたんじゃないかなと思った。 あと、この本は自伝形式なのに、 ごちゃごちゃ自分の正当さを訴えたりしてない感じが潔くて良かったと思う。 誰にも縛られず自由に、己の才覚だけで生きていくのだ、というのがロンドンさんの基本的なスタンスだったみたいだし誇りをもっていたようだけど、それを他人に押し付けたりすることもなかったように思う。 単にやりたい様にやってただけって感じ。おかげでだいぶ読みやすく感じた。 •地球人ライブラリーというシリーズが気になった。 多分、10代の読者を想定してるんじゃないかなっていう感じだったけど、作りが丁寧でとても良かった。本文の合間に当時の社会情勢についての解説が入ってたり、注がかなり詳しかったり。 特に良かったのは巻末のブックリスト。 「アメリカという国ついて」、「ジャックロンドンが生きた時代」、「放浪の旅」みたいに、今回の作品のキーワードごとにいろんな本が紹介されてて、各作品の紹介文もこの『ジャックロンドン放浪記』用に書き下ろされたものらしかった。「ロンドンが生きていたその頃、アメリカでは…」とか「本作品でおなじみになった列車の旅を扱った小説といえば…」みたいに本文と関係を持たせる一言が添えられていて、使い回しではない感じに仕上がっていた。そして紹介されてる本は出版社の垣根を越えて選ばれてた。 なんというか、編集の方々の意気込みを感じるシリーズだった。
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