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ブルーノ・タウト の商品レビュー

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2023/12/02
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※このレビューにはネタバレを含みます

奇妙な方、という印象でしたね。 他の人と明確に生き方が違う人。 それ故に見据えているところも違いましたね。 政治的事由でこの日本へとやってきて 去るまでの3年半に関して。 彼にとっては新鮮な場所もありましたが やはり「キッチュ」と呼ばれる場所も数多く。 人がいる場所はそう思うときつかったのでは。 思うように仕事が入らぬ憤りから 不安定な見方にもなっていたのかもしれませんね。 そして不幸なことにトルコにわたって時を経たずに 彼は過労を因とした脳溢血で亡くなってしまいます。 時代が彼を救うことはできなかったんね。

Posted byブクログ

2022/09/26

桂離宮を称賛する一方、日光東照宮を「キッチュ」と評したことで知られるブルーノ・タウトが、日本文化をどのようにとらえたのか、ということを論じた本です。 タウトが日本を離れるさい、柳宗義はラフカディオ・ハーンとタウトをならべて、タウトが日本文化についての深い理解に達していたことを称...

桂離宮を称賛する一方、日光東照宮を「キッチュ」と評したことで知られるブルーノ・タウトが、日本文化をどのようにとらえたのか、ということを論じた本です。 タウトが日本を離れるさい、柳宗義はラフカディオ・ハーンとタウトをならべて、タウトが日本文化についての深い理解に達していたことを称賛しました。しかし著者は、日本に骨を埋めることになったハーンとは異なり、タウトが二年半の日本滞在のあと、トルコへと旅立っていったことを重視します。 このことから著者は、タウトを折口信夫の「まれびと」になぞらえ、彼の日本文化観がもたらしたものについての考察を展開します。折口の「まれびと」は、異邦ないし異郷からの「聖なる来訪者」であり、「まれびと」との交渉が共同体を揺るがしつつも同時にエネルギーを賦活すると考えられていました。近代の日本文化の理解においてタウトが果たした役割は、「まれびと」の概念によって把握することができると著者は考えます。こうした見通しにもとづいて、著者はタウトが日光東照宮を評した「キッチュ」ということばについての考察をおこないます。 桂離宮の美の「永遠」や、日光東照宮の「キッチュ」などの概念が、日本文化そのものに内在的な性格として理解されるのでもなく、またタウトという人物の建築哲学に還元されるのでもなく、両者の出会いのなかで成立したことを示そうとすることが、著者のねらいだったといえるように思います。

Posted byブクログ