子どもを伸ばす教師の知恵QAヒント集 の商品レビュー
現場の教師たちの悩みに対して、有田流に導いてくださるヒントのある一冊である。これらの悩みから、有田先生が著書などではこれまで見せてこなかった引き出しが開かれたなぁと感じるところも数多くある。質問が多岐に渡っており、読みごたえのある本書となっている。 ① 子どものとらえ直し 「...
現場の教師たちの悩みに対して、有田流に導いてくださるヒントのある一冊である。これらの悩みから、有田先生が著書などではこれまで見せてこなかった引き出しが開かれたなぁと感じるところも数多くある。質問が多岐に渡っており、読みごたえのある本書となっている。 ① 子どものとらえ直し 「有田先生が毎朝必ず、子どもたちに対してしていることは?」という質問の 答えである。「『はてな?帳』を読んで、子どもの問題をつかみ、子どものとらえ直しをします。子どもを日々、新たな気持ちで見直すわけです」……ここに有田先生の「子ども研究」の根幹があると思う。日々、「子どものとらえ直し」をしているからこそ、驚きや感動をもって子どもを見ることができるし、ほめることを中心とした指導ができるのである。常に「『今』の子ども」を見続けるのである。 ② 「はてな?帳」のもたせ方 ❶新鮮な出会いにより「驚き」を引き起こす ❷固定観念をひっくり返し「困惑」を引き起こす ❸教師や他の子どもの考えによるゆさぶりにより「葛藤」を引き起こす ❹活動・体験によるズレの発見から「あれっ!おかしいぞ!」を引き起こす ……4つの具体的方法が図解されており、とても分かりやすい。この単元では、どのタイプで「はてな?」をもたせられるかという教材研究が可能となる。そしてこれら4つはそのまま、教材開発の視点にもなっている。「はてな?」のもたせ方と教材開発は完全にリンクしている。 ③ 毎日きれいに成長するなんてお化けですよ 有田流ユーモアを交えて、子どもの成長の仕方について端的に述べている。また、「授業で子どもを 鍛えようと思ったら『今このクラスで何が必要か』ということをやるべき」とも主張されている。 子どもを鍛え、成長させるために、学級があり授業があると言う、至極当然のことだが、忘れがちなこ とでもある。しかし、これは教師として決して忘れてはならないことである。そして、そのようなこと が意識できた授業をしていると、子どもたちはある日突然、伸びるのである。 ④ 子どもを「先生」だと思いだしてから、成長したような気がします 「人間性の磨き方は?」に対する答えである。教師が人間性・授業を磨くために絶好の相手が、目の前の子どもたちである。子どもから教わることばかりである。 ⑤ 意欲のもたせ方 グループでの調べ学習を効果的に進めていくための具体的方法(ノートを区切って、個人⇒グループ⇒学級全体で出てきた意見を分けて書く)が記されている。このやり方だと、情報が集まりながら、グループで進めていくことのよさを体感することができるだろう。良さを体感すると子どもたちはそれを「学び方」として体得することができるだろう。
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